公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
MHCクラスII分子は、ペプチドをT細胞に提示することで免疫応答の中心的な役割を担っている。一方、様々な疾患のゲノム解析により特定のMHCクラスIIアリルは、様々な免疫疾患の感受性と非常に強く関連していることが判明した。従ってT細胞による抗原認識を制御することは、免疫疾患の治療法の開発に重要である。我々は、特定の抗原やペプチドに対する免疫応答では、ペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体が産生されることを見出した。そこで、本研究では、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体の生理的な機能を解明し、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体による新たな免疫制御機構を解明する。
MHCクラスII分子は、ペプチドをヘルパーT細胞に提示することで、免疫応答の中心的な役割を担っている。一方、T細胞レセプターと同様にペプチド・MHCクラスII分子複合体を認識するモノクローナル抗体が知られており、それらは、MHCによる抗原提示機構の解析のツールとして使われてきた。一方、我々は特定の抗原やペプチドに対する免疫応答では、ペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体が産生されることを発見した。そこで、本研究では、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体の産生機序を解明し、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体の機能を明を目的とした。今までの研究により、EAE等の自己免疫疾患モデルマウスにペプチドを投与して抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体を誘導することによって、疾患発症を抑制できることが明らかになった。また、ヒトにおいてもインフルエンザウイルスのペプチドを提示したHLAに特異的な抗体が存在することも明らかになってきた。また、I型糖尿病モデルマウスにおいても、標的抗原ペプチド・MHC複合体に対する抗体が、糖尿病発症を抑制することが明らかになった(Matsumoto et al. BBRC 2021)。したがって、抗ペプチド/MHCクラスII複合体抗体が誘導されることによって、免疫応答が抗原特異的に制御されている可能性が明らかになった。今後、さらに、様々な抗原由来のペプチドとMHCクラスII分子との複合体を解析することにより、抗ペプチド・MHCクラスII分子複合体抗体が抗原特異的な免疫制御法にどのように関与しているか、また、ペプチドの免疫によって抗ペプチド/MHCクラスII複合体抗体を特異的に誘導する新たな抗原特異的な免疫制御方法が明らかになると期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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