公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ヒトゲノムの中で最も多型性に富む主要組織適合性遺伝子群(HLA)は、同種造血幹細胞移植において、ドナー由来の細胞によって惹起されるアロ免疫反応に重要な役割を担う。日本人の主要なHLA遺伝子全領域のゲノム塩基配列情報に基づいて、HLAアリルの分子系統解析を行い、移植片対宿主病(GVHD)、移植片対白血病(GVL)効果などアロ免疫によって起こる病態とHLAの関連を解析し、新たなアロ免疫認識機構を検索する。さらに、移植後の白血病再発時のHLA発現様式を解析し、アロ免疫から回避して腫瘍が進展する機序を解明する。
本研究は、ヒトのアロ免疫認識機構により生じる移植免疫反応(移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病効果(GVL効果)を解析することにより、従来のアロ免疫とは異なる認識機構を検索し、自己免疫とは異なった視点でセルフ・ネオセルフの認識機構を追及するとともに、造血器腫瘍における腫瘍免疫回避機構に関わる新たなHLA発現様式の解明を目的としている。我々は先行研究でHLA-DPB1遺伝子のエキソン3から3’非翻訳領域の領域が従来のT細胞エピトープに基づくHLAアリルとその適合度により生じるGVHD発症機構とは異なる機序でGVHDの発症に関連していることを明らかにした。本研究では、HLA-DPB1座以外の他のHLA座においてHLAアレルそのものがGVHDのリスクとなる可能性を探った。日本人の大規模な造血幹細胞移植データベースを用いて、白血病に対してHLA一致同胞間移植が行われた5836例を対象として解析を行ない、急性GVHDのリスクと関連するHLAを検索した。頻度が3%異常あった26個のHLA-A, -B, -DRの中で、有意に急性GVHDと関連したのは2つであった。HLA-B60は急性GVHDのリスクが高く、HLA-B62は低いことと関連した。HLA-B62は白血病再発のリスクが高かった。さらに、成人T細胞白血病リンパ腫を対象とした別の集団を対象とした解析でも、同様な結果が得られた。同種造血幹細胞移植において、HLA不適合だけではなく、HLAの一致した移植でもHLA特有のアロ免疫応答が惹起される可能性が示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Bone Marrow Transplant.
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Bone Marrow Transplantation
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Leukemia
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10.1016/j.bbmt.2019.09.009
臨床血液
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10.11406/rinketsu.60.1324
130007724650