公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、ネルソンベイレオウイルス(NBV)p17タンパク質がその自然宿主であるコウモリ細胞において特異的に複製能を制御していることに着目し、p17による複製制御機構を解明する。コウモリを自然宿主とするウイルスと宿主との共生機構を理解する上で、有用な知見の蓄積を目的とする。
コウモリはSARSコロナウイルス、ニパウイルスなど多くの致死的感染を引き起こす人獣共通感染症の自然宿主として注目されている。本研究では、ネルソンベイオルソレオウイルス(NBV)p17がその自然宿主であるコウモリ細胞において特異的に複製能を制御していることに着目し、p17による複製制御機構の解明を目的としている。本年度は以下の成果が得られた。NBV p17はNBV FASTの細胞融合活性を促進することで複製能を制御する。NBVと同じレオウイルス科Fusogenicグループに属するウイルスのp17をクローニングし、コウモリ細胞における特異的な複製制御活性について解析を行った。その結果、NBVと同様にコウモリ由来であるブルームオルソレオウイルスp17はコウモリ細胞において、FASTを介する細胞融合活性を促進した。一方、異なる生物種由来のヒヒオルソレオウイルスp17ではFASTの機能をほとんど活性化することができなかった。異なるFusogenicレオウイルス由来のFASTのコウモリ細胞における細胞融合活性について解析した結果、p17非存在下で細胞融合を強く誘導できるFASTを見出した。これらの成果はp17およびFASTの種特異性や進化学的意義についての理解を深める上で有用な成果である。組換えタンパク質によるアフィニティー精製法、cDNAライブラリーを用いた発現クローニング法、p17によって発現変動するコウモリ細胞転写産物の定量法(RNA-Seq法)などの手法を用いて、p17に相互作用する宿主因子の同定研究を行った。その結果、複数の候補因子が同定された。これらの因子をノックダウンした細胞株を作製し、解析を行った結果、数種類の宿主因子がp17依存的細胞融合活性に影響を与えていることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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