公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、DI ゲノム産生性及び非産生性SeV クローンを用いて、培養細胞及びマウス実験系で、①単独感染、②様々な割合やウイルス量での混合感染、③DI ゲノム非産生SeV 感染マウスに対する様々なタイミングやウイルス量でのDI ゲノム産生性SeV の追加感染などを行い、感染時のDI 粒子の存在や、感染期間中の偶発的なDI 粒子の発生を様々にシミュレートした実験を行う。特にマウス実験系では、DI 粒子発生が感染マウス個体での病原性やウイルス動態に与える影響を検討するだけでなく、マウス集団内での影響についても着目し、感染の拡大、病原性の変化、ウイルス動態の変化などについて検討する。
様々な感染症で、感染者の体内に多くの不完全ウイルス(様)粒子が存在する場合のあることが知られているが、その発生メカニズムに対する理解やその発生をコントロール可能な実験系の欠如などから、その発生の意義についてはほとんど解明されていない。申請者らは、センダイウイルス(SeV)をモデルにQuasispeciesを形成しているウイルスサンプル中から複数のウイルスを単離し、その性状を解析することで、RNAウイルス感染で見られる不完全ウイルス粒子の一つであるコピーバック型欠損干渉(DI)粒子を発生するウイルスクローン(cCdi)の単離に成功し、DI粒子を産生しないクローン(cC)との比較から、DI粒子の発生が、ウイルス複製中に生じた変異によるものであることを明らかにした(Yoshida, J Virol 2018)。これまでに、急性感染性RNAウイルスにおいて、DI粒子の発生と培養細胞系での持続感染の関連が数多く報告されている。そこで、cC及びcCdi感染による持続感染性について検討したが、いずれも単独では持続感染を成立させることはできなかった。一方、これらのクローンを単離した元のウイルスサンプルを様々な動物培養細胞に感染させると、殆どの細胞は死滅するが、わずかに生残細胞細胞が生じ、この細胞は長期に渡って継代維持が可能であり、この生残細胞から生体温度での感染性を保持した持続感染性ウイルスを得ることに成功した。この持続感染性ウイルスの解析から、責任変異を同定するとともに、持続感染に宿主のリサイクリングエンドソーム系が関与していることを明らかにした(論文準備中)。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) 産業財産権 (1件)
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