公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
思春期コホートにおける①「精神状態と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」、②「食・生活行動の多様性(基底生活行動)と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」を検証する。また、③思春期の「主体的価値変容の修飾因、駆動因と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」を計画班と連携強化し、検討を行う。本研究において、思春期コホートの社会適応状況、精神的健康度、食生活行動を包括的に把握する質問票による調査を継続して実施する計画である。当該年度において、思春期主体的価値尺度と糖化・酸化プロファイルの関連を検証し、主体価値の形成とその修飾要因について探求する。
本研究では、「糖化」を軸に、「糖化ストレス曝露が精神疾患リスクを高める」という仮説のもと、その因果を明らかにすることを目指し、臨床研究と基礎科学の両側面から早期診断、治療、予防、介入戦略の創出に繋がる所見を蓄積した。我々は従来から活用するHPLC分析、質量分析に加え、非侵襲的測定機器であるAGEsセンサ(シャープライフサイエンス製)を用いて検討を行った。統合失調症と健常者を対象として、指尖AGE(Fingertip AGE, F-AGE)値を測定した結果、糖化ストレスの亢進を確認した。F-AGE値は入院期間と正に相関し、先行研究ですでに明らかとしたペントシジン値と統合失調症の関連を再現しており、AGEセンサが採血に替わる非侵襲的かつ簡便なAGE測定ツールであることを実証した。また、初発精神病(First Episode Psychosis, FEP)10名と、健常者群31名においてF-AGE値を比較した結果、FEP群で有意な上昇も認めた。このことは患者では発症前後からF-AGEが上昇することを示唆し、抗糖化ストレス介入による発症予防が期待された。さらに、東京ティーンコホート(http://ttcp.umin.jp/)と連携し、抗精神病薬未服薬の児童250名以上を対象に、F-AGEと精神病症状との関連性を検証した結果、F-AGE値が有意に精神病症状の持続と関連することを見出した(Miyashita, Yamasaki et al. under revision)。したがって、F-AGEsは、医療現場のみならず学校や地域においてハイリスク思春期児童の早期同定に有用なバイオマーカーであると考えられ、加えて、思春期~発症前後~慢性期の時系列において、糖化ストレスの生涯軌跡を検証することが可能となり、糖化制御を標的とした有効な先制介入点の創出が期待できる成果を得た。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件) 備考 (4件)
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