公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
近年の生殖工学の発展により、自然には存在しない方法で子孫を作る方法が開発された。なかでも精子幹細胞を用いた生殖工学は新しく開発されたものであり、培養した精子幹細胞を不妊マウスの精巣に移植することで子孫を得ることができる。しかしながら、こうして作成された個体が正常の個体に比較してどの程度正常であるかについては調べられていない。そこで本研究では培養精子幹細胞であるGermline stem (GS)細胞を用いて子孫を作成し、このマウスの行動解析を行うことで精子幹細胞の操作がどの程度マウスの行動異常に影響するのかを解析する。
本研究はオスの生殖細胞の源となる精子幹細胞の培養操作が子孫に及ぼす影響を解析することである。これまで卵子や初期胚については培養や核移植などの操作により様々なエピジェネティックな異常が見られる子孫が生まれることが知られている。しかしながら、オスの生殖細胞については同様の操作が与える影響については明らかになっていない。精子幹細胞は試験管の中で長期培養が出来る細胞であるため、この疑問に答えるために精子幹細胞を培養し、精巣に移植して得られた子孫の行動解析を行った。新生児のC57BL/6マウスの精巣より、常法によりGS細胞を樹立することが出来た(B6 GS細胞)。細胞が十分量まで増えた段階で先天性の不妊マウスであるWBB6F1-W/Wvマウスの精巣内へ移植し、精子形成を誘導した。移植後3ヶ月経った段階で顕微受精により子孫の作成を行ったところ、帝王切開により正常な外見を持った子孫を得ることができた。コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言のためにマウスの予定されていた行動解析実験は遅延したが、最終的に予定していた全ての実験を終了することが出来た。具体的にはgeneral health/neurological screen、wire hang、grip strength test、light/dark transition、open field、elevated plus maze、hot plate、social interaction、rotarod、beam test、prepulse inhibition/startle response 、Porsolt forced swim、Morris water maze、cued and contextual fear conditioning、Tail suspension test、24 hour home cage monitoring などの実験を行った。現在その行動解析実験の取りまとめを行っている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
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