公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
求愛中の動物は、全感覚を総動員して異性を追跡する。ハエのオスは聴覚(求愛歌)、視覚(メスの動き)、味覚(フェロモン)を用いてメスを追いかける。これらの感覚情報は、それぞれ異なる精度でメスの存在や方向を示唆するため、その組み合わせはそれぞれ異なる効果を追跡行動にもたらすと予想される。しかし、これら感覚情報の組み合わせがどのようなパターンの追跡行動を起こすかは不明であり、状況に応じた追跡行動を発現する神経機構も未解明である。そこで本研究では、異なるモダリティの感覚情報の統合が追跡行動に果たす役割と、その神経基盤を解き明かす。
ナビゲーション中の動物は、さまざまな情報を手掛かりにして移動方向を調整し、ターゲットに到達する。その間、脳はどのようにして、多様な感覚情報を統合して移動戦略を決定し、ナビゲーション行動を制御するのだろうか? 本研究では、キイロショウジョウバエのオスが複数の感覚情報を手掛かりに求愛相手に向かう追跡行動をナビゲーション行動のモデルとして、この謎に挑むことを目的とした。当該年度では、単一オス個体の求愛追跡行動を定量できる、球状トレッドミルを用いた行動計測系を用いて、パターンマイニングの手法により、感覚刺激の組み合わせごとに生じる求愛追跡行動の特徴をパターンとして抽出した。また、ここで抽出された特徴的な行動パターンが、自由行動下の求愛追跡行動でも見られることを、動画解析により確認した。現在、この行動表出を定量的に解析するため、自由行動下でのこの特徴的な行動パターンを自動検出できるアルゴリズムの構築も進めている。また、感覚刺激の組み合わせごとに生じる特徴的な求愛追跡行動を惹起する中枢ニューロンの同定も進めた。光遺伝学の手法を用いて、候補となるニューロンを特定のタイミングで人工的に活性化し、それに伴って現れる行動を解析した。その結果、求愛追跡行動を惹起することに成功し、現在は特徴的な行動パターンの発生頻度の解析を開始した。以上の解析により、感覚統合が追跡行動に果たす役割とその神経基盤の理解が進んだ。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件)
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