研究領域 | 都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05031
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80782672)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 社会の複雑化 / ヒトの移動と物流 / 同位体分析 / 西アジア / 人骨 / 新石器時代 / 青銅器時代 / 銅石器時代 / 同位体比分析 / 社会構造 / 都市化 / 移住 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、化学分析を用いて復元したヒトの移動や物流の遺跡間・時代間の比較から、都市誕生にいたる過程として、ヒトの移動や物流が単調だったと予想される狩猟採集社会、自給自足的な農耕村落社会から複数の集落ネットワークを包含した複雑化社会への移行の様相を明らかにする。そのために、西アジアの新石器時代から青銅器時代遺跡において、出土人骨や炭化種子、動物骨のストロンチウムや酸素、窒素、炭素同位体比測定などの化学分析を実施し、当時のヒトの移動や食料とされた穀物や動物の流通と消費を復元する。 食物資源の共有と消費から共同体内小集団が検出可能となれば、初期定住村落における社会構造に踏み込んだ議論が可能となる。
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研究実績の概要 |
シリアの土器新石器時代遺跡のテル・エル・ケルク、ヨルダンの銅石器時代遺跡のハラアト・ジュヘイラ、イラクの新アッシリア時代の都市遺跡のヤシン・テペ、バーレーンのティロス期(紀元前330年~紀元後629年)のマカバ古墳群の出土人骨で出身地を反映するストロンチウム同位体分析を行い、各遺跡に埋葬された人骨に含まれる移入者の存在を検証した。 その結果、テル・エル・ケルク遺跡では成人人骨はすべて在地の出身者と判定された一方で、小児~若年齢3個体が移入者と判定された。小児期に死亡した個体だけが移入者であるという結果の解釈は難しいが、男女問わずに成人が在地だったことから一方の性だけが婚姻に伴って移住していた傾向は見られなかった。この結果は、発掘報告書『The Neolithic Cemetery at Tell El-Kerkh』で報告した。 銅石器時代の遊牧民の墓と考えられるハラアト・ジュヘイラの出土人骨は一律なストロンチウム同位体比を持っており、明確な移入者の存在は確認されなかった。また新アッシリア帝国期の辺境の都市遺跡であるヤシン・テペの人骨5点も一律なストロンチウム同位体比を持っていた。しかし現状で測定した資料数は極めて限られているため、今後に資料を増やして検証する必要がある。 マカバ古墳群出土人骨2個体から得られた3点の資料では、それぞれの個体が異なるストロンチウム同位体比と酸素同位体比を示した。この結果は、マカバ古墳群には大きく環境の異なる地域の出身者が埋葬されていたことを示す。パルミラの隊商との関わりが深いマカバ古墳群の被葬者の特殊性を反映していると考えられる。この結果は『ヘレニズム~イスラーム考古学研究 2020』で報告した。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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