公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目標は、形成して間もない原始星に付随する円盤構造の物理的性質を観測的に明らかにすることで、その背景にある物理過程の抽出、およびその後の物理進化の包括的理解に迫ることである。このため、国際共同大型電波干渉計アルマの最高性能 (解像度および感度) を駆使して、形成最初期にある円盤構造を正体を鮮明に描き出す。加えて、5~10個の若い低質量原始星天体 (Class 0/I) について、原始星と円盤の質量を正確に評価することで、これらの構造の共進化過程を検証する。これらの観測的成果を理論研究と結びつけることで、星・惑星形成史の初期過程の全容理解を目指す。
本研究の目的は、観測的研究を通して、形成されて間もない原始星に付随する円盤構造の物理的・化学的性質を明らかにし、その背景にある物理過程を抽出することで、その後の物理進化の理解を追究することである。このため、大型電波干渉計アルマがもつ最高性能の解像度・感度を駆使して、形成過程の最初期にある円盤構造の正体に迫った。本研究課題では、超低質量原始星天体IRAS 15398-3359に付随する円盤構造を、高解像度・高感度でのアルマ観測によって捉えた。30天文単位の高解像度観測データに対して、機械学習の手法の一つ (Principal Component Analysis) を適用することで、円盤構造における化学組成の分布を明らかにした。これにより、この天体の円盤構造がH2CO輝線によって鮮明に捉えられること、また、原始星付近でガスが加熱されている様子を見出した。本成果により、アルマ観測データの解析における新たな化学診断の手法を提示した。さらに、欧・米との国際共同研究を通して、上記の天体で、円盤構造とは大きく異なる方向に吹き出すアウトフロー構造を発見した。この成果は、非常に若い原始星天体で、原始星進化に伴ってアウトフローの方向が変化する様子を初めて観測的に示したものである。これは、不安定な円盤構造と原始星の共進化に迫る重要な現象であり、原始星天体の形成初期段階における物理構造進化の理解に新たな描像を提示した。上記の成果について、国内外の研究会で報告するとともに、2編の学術論文にまとめて公表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
The Astrophysical Journal
巻: 910 号: 1 ページ: 11-11
10.3847/1538-4357/abddb1
巻: 900 号: 1 ページ: 40-59
10.3847/1538-4357/aba51e