公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究課題では、数値流体シミュレーションにより原始惑星系円盤の散逸過程の解明を目指す。原始惑星系円盤は惑星誕生の現場であり、その散逸はそこで誕生する惑星系の性質を決定づける重要な物理過程である。これまで円盤散逸機構として、輻射加熱による「光蒸発」と磁場駆動の「円盤風」の2つが別々に考慮されてきたが、現実には両者は同時に働いているはずである。ALMA望遠鏡による原始惑星系円盤の詳細な観測も進む今、2つの物理機構を整合的に取り入れた輻射磁気流体シミュレーションを用いて、現実的な円盤散逸の理論モデルの構築を行う。
電波から可視に渡る多波長の観測から、さまざまなフィードバック過程についての解明を進めた。谷口助教等との国際協力によりALMA観測データ解析を進め、超コンパクトHII領域G24.78+0.08A1中心部における円盤構造, 化学状態や連星形成過程について報告した。光電離下におけるガス降着進行解明の糸口となる重要な成果となった。また、大小マゼラン雲のALMA観測も進め、初期宇宙のような低金属量環境における大質量星形成フィードバックについても観測的制限を得られつつある。可視赤外観測からは、Bally教授等と共にHST長期観測データ解析を行い、双極HII領域Sh2-106のHST長期観測から爆発的なアウトフローを発見した。これは原始星同士の衝突のような激しい物理現象が3500年前に発生したことを示している。また、詳細な物理過程を含む理論モデルの構築にも力をいれている。山室氏, 奥住准教授と共同で、大質量原始星周囲における円盤構造とダスト成長・破壊過程を整合的に組み込んだ理論計算モデルを構築した。これにより、地球型惑星形成理論において重要となる岩石ダスト破壊限界速度へ制限をつけることに成功した。また、松木場研究員等との共同研究で、様々な金属量における原始星円盤の輻射流体力学計算を行い、重力不安定による円盤分裂過程の金属量依存性を定 量的に明らかにした。これらの理論研究から得られた新しい知見をもとに、新たな観測提言も行っている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Astrophysical Journal
巻: 924 号: 2 ページ: 50-50
10.3847/1538-4357/ac30de
巻: 891 号: 2 ページ: 164-164
10.3847/1538-4357/ab6e6b
巻: 882 号: 2 ページ: 123-123
10.3847/1538-4357/ab36b3
巻: 886 号: 1 ページ: L4-L4
10.3847/2041-8213/ab5309