研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
19H05144
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 一将 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50622304)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 液晶 / 3次元計測 / トポロジカル欠陥 / 乱流 / 共焦点顕微鏡法 / 非平衡相転移 / クラスター化 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル欠陥は、様々な系で秩序形成に伴って現れる普遍的な存在であり、離散的な特徴量をもつ点で量子的である。液晶系の欠陥は、超流動ヘリウムなど量子流体で見られる量子渦と一定の類似性がある。ある種の液晶系では、高い電圧印加のもとで、高密度の欠陥からなる乱流状態が出現し、乱流転移に関する重要な普遍法則の実証等が行われた。本課題では、乱流中の欠陥の直接観測を試み、欠陥のクラスター化や階層構造などの特徴抽出や性質の解明を目指す。それにより、量子流体の乱流など、類似性のある他の物理系との関係を調査し、クラスター化や階層構造に関する共通概念の存在を模索する。
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研究実績の概要 |
本研究では、自然現象における階層構造、特に量子的離散性やクラスター化が関わる例として、液晶の線状トポロジカル欠陥に注目した。これは超流動ヘリウムなど量子流体で見られる量子渦糸と一定の類似性があるうえ、液晶乱流では高密度の線欠陥が密集したクラスターが形成されて、マクロスケールで種々の非平衡普遍法則が観測されるなど、マクロ非平衡現象におけるクラスター化と階層構造を調査するうえで大変興味深い現象である。本研究では、液晶欠陥ダイナミクスの3次元計測に挑戦し、その動力学を定量的に解析することで、量子流体系との共通点・相違点を明らかにし、乱流状態における階層構造の理解に資することを目標とした。 本研究ではまず、高倍率・高NAの対物レンズに適合した、カバーガラス型の電気対流セルを製作し、そこに色素等をドープした液晶試料を封入した。本セルで高密度欠陥からなる乱流状態を生成し、乱流からの緩和過程を計測したところ、欠陥の3次元構造とその時間発展の計測、特に欠陥どうしの再結合過程の計測に成功した。我々は、再結合の前後における欠陥対の運動を解析し、量子流体における量子渦糸の再結合と類似の時間発展則に従うことが確認された。その一方で、2本の欠陥の運動に非対称性があることも発見し、量子流体にはない特徴として解析を進めている。我々はまた、定常状態の欠陥乱流計測も行い、欠陥再結合がその1つの素過程であることを見出した。 非平衡現象において、ミクロとマクロの階層間の関係を理解することは1つの重要課題となっている。本研究の実施により、液晶欠陥ダイナミクスについて、個と集団の2階層を結ぶ素過程の1つを抽出し、特徴づけたことで、非平衡の階層構造の理解に向けた1つの実験的指針を提示し、端緒を開くことができたと考えている。
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現在までの達成度 (段落) |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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