研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
19H05159
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡 眞 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, センター長 (60144606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ダイクォーク / カイラル対称性 / 線形シグマ模型 / ヘビーバリオン / 格子QCD / ハドロン / 量子色力学 / クラスター / カラー / 軸性U(1)アノーマリー |
研究開始時の研究の概要 |
カラーが白色でないクォーク・グルーオンの複合系である一般的なカラードクラスターの量子数の分類、エネルギー、相互作用を、量子色力学に基づいて解析し、多体系のダイナミクスで重要となるクラスターを特定する。それらを基本要素とする有効ラグランジアンを構築して、少数系、有限系、無限系、有限温度、密度、外場などの条件を指定したハドロン物質中でのカラードクラスターの重要性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
カイラル対称性に基づくダイクォーク有効理論を用いて、ヘビークォークを1個含むバリオンとヘビークォークを2個含むテトラクォークメソンの質量スペクトルを解析し、励起状態について予言を行った。軽いダイクォークをカイラル対称性によって分類することにより、ダイクォークのカイラル有効理論を構築した。ダイクォークとしては、質量が軽いスカラー+擬スカラーダイクォークの系と軸性ベクトル+ベクトルダイクォークの系の2種類を導入し、線形シグマ模型の形式での低次の項を取り入れた有効理論を求めた。ダイクォークの質量は、カイラル不変な項、カイラル対称性の自発的破れによって生じる項、軸性U(1)対称性を破るアノーマリー項からなり、それぞれの項がクォーク質量によるカイラル対称性の顕な破れを含んでいる。格子QCDによるダイクォークの質量計算および、ヘビークォークとダイクォークの束縛で生じるヘビーバリオンのスペクトルの情報を用いて、有効理論のパラメータを設定した。擬スカラーダイクォークの質量には軸性U(1)の破れが大きく寄与することがわかり、その結果ストレンジネスを含むダイクォークが軽くなる質量の反転が起こる可能性を予言した。一方、軸性ベクトルダイクォークは、SU(3)6次元表現のGell-Mann-Okubo質量公式にほぼ従うことがわかった。 ダイクォークの有効理論を用いて、チャームあるいはボトムクォークとダイクォークの束縛状態をクォーク模型で与えられるポテンシャルを用いて計算し、バリオンの励起状態のスペクトルの予言を行った。擬スカラーダイクォークの質量反転が反映して、Xi_cバリオンのrho-mode励起スペクトルに非相対論的なクォーク模型と異なる性質が現れることを示した。 本研究はカイラル対称性に基づくダイクォーク描像という新しいハドロン構造の定式化を提案し、今後の理論的実験的発展に繋がる成果である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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