研究領域 | 遺伝子制御の基盤となるクロマチンポテンシャル |
研究課題/領域番号 |
19H05254
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 由紀 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (60546430)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 精子クロマチン / ATAC-seq / CUT&Tag / ヒト精子 / クロマチン / 男性不妊 / 精子 / シングルセル解析 / ChIL-seq / マスサイトメトリー |
研究開始時の研究の概要 |
近年、親の遺伝子以外の情報が子に伝わるエピゲノム遺伝現象が注目されている。一方で生殖補助医療の発展と普及も近年目覚ましい。特に顕微授精(精子を1匹選んで卵子に注入する)の割合は年々増加しており、日本では体外受精の7割が顕微授精という報告もある。しかし精子の選択は客観的指標が乏しく、上述のエピゲノム遺伝現象を考慮すると、精子エピゲノムの客観的な品質評価方法の確立は急務である。本研究では精子残存ヒストンを指標に「正常な精子(クロマチン)」を定義するとともに、個々の精子におけるクロマチン構造の多様性を定量的に評価することで、不妊治療における精子の「品質管理」に有用な知見を提供することを目的とする。
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研究実績の概要 |
精子クロマチンはヒストンが脱落し、プロタミンと呼ばれるタンパク質に置換されて高度に凝縮する。精子クロマチン凝縮異常は男性不妊の一因であり、近年は精子エピゲノム変化と子供の疾病リスク増大との関連性も示唆されているが、そのクロマチン構造は未解明の点が多い。さらに精子エピゲノム変化が、精子全てで均一に起こっているのか、一部の精子集団で顕著に変化しているのか未検討である。本研究提案ではシーケンシングを用いてヒト精子クロマチンを定量することで、ヒト精子エピゲノムプロフィールの個人間および精子間多様性を明らかにすることを目的とした。 ATAC-seqとCUT&Tagによって、ドナー間における精子クロマチンの不均一性を検討した。39検体でATAC-seqを施行した結果、検体が3つのグループA/B/Cに分けられることを見出した。AとCには、体外受精前の精液分画で精製・回収(A)あるいは除去(C)された検体が濃縮しており、Bはこれらの中間であったことから、ATAC-seqの結果は精子の品質を反映していると考えられた。CUT&Tagでは、H3K4/K27メチル化が発生関連遺伝子群に濃縮していた一方、K9メチル化はサテライトリピート領域に濃縮しており、マウス精子の知見と同じであった。ATAC-seqの結果と合わせて解析した結果、グループCは、K4/K27メチル化に富む遺伝子領域のクロマチンが「緩んで」いることが分かった。さらにシングルセルATAC-seqを行った結果、ひと精子間で顕著な不均一性が確認できた。 以上の結果は、精子クロマチンが精子の品質を示唆する新たな指標になり得ることを示している。今後はシングルセルATAC-seqの検体数を増やして精子間の不均一性の詳細を検討する予定である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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