公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
β-TrCP(β-Transducin repeat Containing Protein)は、SCF型E3ユビキチン化酵素の基質認識サブユニットF-BOXタンパク質のひとつであり、基質のリン酸化を認識して結合する。本研究計画では、β-TrCPの基質へのリン酸化依存結合に拮抗する小分子リガンドを見出し、β-TrCPリガンドと細胞内の分解させたい標的タンパク質の特異的リガンドとの結合キメラ化合物を合成し、標的タンパク質を結合キメラ化合物によってプロテアソーム依存分解させるシステムの構築研究を行う。
昨年度までの研究で、これまでに代表者が確立してきた、他のタンパク質にリン酸化に依存して結合するタンパク質のリン酸化ペプチドへの結合をハイスループットに測定する探索系の技術を応用して、β-TrCPのリン酸化基質への結合に拮抗する小分子探索系を構築した。具体的には、蛍光タンパク質(monomeric Azami Green; mAG)と融合したβ-TrCP1あるいはβ-TrCP2をバキュロウイルスに導入して昆虫細胞に感染することでこれらの融合タンパク質を大量発現する系を構築した。さらにβ-TrCPの標的リン酸化ペプチドを96穴プレートに共有結合し、上述の感染細胞の細胞抽出液を入れたのちに洗浄し、結合を蛍光プレートリーダーで測定することで、融合タンパク質の結合をハイスループットに測定できることを示した。これらの結果からβ-TrCPの標的への結合阻害物質を直接ハイスループットに探索できる系を計画通り構築できたと結論した。β-TrCPの標的への結合を直接検出する阻害物質探索系はこれが初めての例であり、阻害物質の探索に極めて有効であると考えている。本年度は、次にこの系の有効性の検証をさらに進めた。β-TrCPの阻害物質は文献上知られているものはほとんど無いが、その一つであるGS143について阻害能の確認を行い、それほど強くはないが(IC50=数十μM)、濃度依存の阻害が確認された。このシステムをもちいて、理研天然物ライブラリー(RIKEN NPDepo Library)の化合物について阻害物質の探索を行った。約500の物質を探索し、結合を有意に阻害出来る物質を12化合物得ることができた。これらについてその類縁体の解析、Gleevecの融合化合物がBcr-Ablタンパク質のProtacとして機能できる可能性へと研究を進める事への基盤作りに成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 10件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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