研究領域 | シンギュラリティ生物学 |
研究課題/領域番号 |
19H05412
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
園下 将大 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80511857)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 膵がん / 少数細胞 / シンギュラリティ / がん / 異分野融合 / 新規治療薬 / 膵臓がん |
研究開始時の研究の概要 |
がんは現在日本における死因の第1位で、診断法や治療法の確立が喫緊の課題である。特に膵臓がんはがんの中でも最も悪性度の高いがんの一つだが、高い治療抵抗性を示すために治療薬の創出は極めて難航しており、研究手法および創薬手法の抜本的な変革が求められている。 そこで本研究は、「がん細胞の一部ががん促進シンギュラリティ細胞として膵臓がん形成の促進や薬物抵抗性の発現に寄与する」という新たなパラダイムを提唱し、これを検証する。生化学・遺伝学・薬理学・計算機科学等の融合により、がん発生機序研究および治療法開発の新たな方法論と技術的基盤を創出し、次世代型生命現象研究を遂行する。
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研究実績の概要 |
がんは日本人の死因の第一位で、極めて深刻な福祉課題となっている。がんの中で最も患者予後が不良なものが膵がんで、その病態の理解や予防・治療法の開発が急がれている。これまでに、KRASやTP53、CDKN2A、SMAD4等の遺伝子変異が蓄積することで膵がん形質が悪性化するモデルが提唱されてきたが、その本態や治療標的はいまだ解明されていない。そこで我々は本研究で、変異が蓄積した一部のがん細胞ががん促進シンギュラリティ細胞として膵がん形成を促進するという仮説を立て、新規膵がん遺伝子型モデル動物としてショウジョウバエを使用することでこの検証に取り組んだ。 まず、ハエ幼虫の翅原基でRASを活性化した膵がん形成の初期モデル・1-hitハエを作成したところ、対照の非遺伝子組換えと比較して翅原基の大きさの増大とハエ生存率の低下を認めた。次に、このRAS活性化翅原基の一部の細胞においてp53の不活性化を追加で発生させ、RAS とp53の両遺伝子が異常になった2-hit細胞を持つ2-hitハエを作成したところ、ハエの生存率が1-hitハエと比較してさらに低下することが分かった。これらの結果は、2-hit細胞が周囲の細胞に影響を及ぼして個体の生存率を低下させることを示しているため、我々はこの2-hitハエの網羅的遺伝学解析によりこの機序の成立に必要なシグナル伝達経路を探索した。その結果、複数のキナーゼが重要な役割を果たすことを見出し、これらのキナーゼを阻害する化合物がこのハエの生存率を改善することを発見した。 以上より、遺伝子変異が周囲の細胞よりも蓄積した少数の細胞が発生することでがんの形質が増強することが個体レベルで明らかとなった。本研究で同定した、この過程の成立に重要なキナーゼ群を標的にすることで、膵がん促進のシンギュラリティ現象を標的とする新規治療法の確立を実現できる可能性がある。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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