配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究実績の概要 |
私たちの脳内にはおよそ1,000億個もの神経細胞が存在し、互いの細胞が「シナプス」を介して結合することで記憶・学習に必須な神経回路網を構築する。そのため、シナプスの形成過程や動作原理を分子レベルで明らかにすることは、記憶・学習の実体を理解する上できわめて重要な課題である。しかし、超夾雑環境にある脳内において、特定の神経回路内のシナプス選択的に介入する技術は、今も尚、発展途上にある。 私たちはこれまで、シナプスの形成および機能の人為的制御をめざした光・化学遺伝学的技術の開発を進めてきた。とりわけ、記憶・学習の分子基盤とされるシナプス可塑性 (シナプス伝達効率の可逆的変化) を光で制御しうる新しい光遺伝学技術を駆使し、シナプス可塑性が個体行動に直接的に関与していることを世界に先駆けて明らかにした (Kakegawa et al., Neuron '18)。また私たちはごく最近、シナプス可塑性を新たな化学遺伝学的手法により制御することにも成功した (Ojima, Kakegawa et al., Nature Commun, in revision)。具体的には、運動記憶学習を支える小脳シナプス回路において、その可塑性変化を担う代謝調節型グルタミン酸受容体(mGlu1)を対象とし、合成化合物により選択的に活性化させるデザイナーmGlu1を設計した。興味深いことに、この合成化合物によって活性化されるデザイナーmGlu1をウイルスベクターにより小脳内の細胞選択的に発現させると、種々の神経細胞におけるmGlu1活性を動的に制御することに成功した (Ojima, Kakegawa et al., Nature Commun, in revision)。今後、新たなシナプス操作技術の所見をもとに、シナプス機能および記憶・学習の分子的理解に迫りたい。
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