研究領域 | 分子夾雑の生命化学 |
研究課題/領域番号 |
20H04719
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 教授 (70512284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 概日リズム / 尿素 / TMAO / シアノバクテリア / 圧力 / ATPase活性 / 概日時計 / 分子夾雑 |
研究開始時の研究の概要 |
シアノバクテリアの概日時計においてKaiCリン酸化サイクル周期長の決定因子であるKaiCのATP加水分解活性(ATPase活性)が、200気圧で1.6倍増加し、周期長が約8時間短縮するという温度変化では見られない顕著な影響を見出した。本研究により、分子夾雑や溶液環境による概日周期やATPase活性への影響を解明する。圧力依存性から加水分解に伴う活性化体積(ΔV≠)を求め、分子夾雑や溶液条件のΔV≠への影響を解明する。本研究を通じて「タンパク質の分子内キャビティーが構造揺らぎを通して機能を制御する」という仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
シアノバクテリアの概日時計はKaiA、KaiB、KaiCの3つのタンパク質とATPで構成され、試験管内でKaiCのリン酸化サイクルを再構築できる。概日周期はリン酸化KaiC割合の周期的な変化として観測され、KaiCのATPase活性が周期長決定因子であることが分かっている。これまでの研究から、シアノバクテリアの概日時計の周期長が高圧下で短縮すること、ATPase活性が増加することを見出した(Kitahara et al. Sci. Rep. 2019)。高圧下でATPase活性が増加することから、KaiCのATPase活性は、負の活性化体積(収縮)を伴う。KaiC内の大きなキャビティーが分子収縮を可能にしたと考えている。「遷移状態では、分子収縮に伴い触媒残基や水、ATPなど加水分解に必要な要素が集合し、反応が生じる」という仮説をたてた。本研究では、圧力範囲を400気圧まで延長し、リン酸化周期調とATPase活性の変化を追跡した。また、添加物として有機小分子(尿素とトリメチルNオキシドTMAO)の効果について研究を行なった。TMAOと尿素について、リン酸化周期長やATPase活性、リン酸化活性に異なる応答がみられ、双方を添加した時には相殺効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シアノバクテリアKaiCのリン酸化周期長の測定には、KaiA, KaiB, KaiCの3つのタンパク質を純度良く生合成する必要があるが、一時的に高い純度の精製ができなくなった。コロナ禍で機器や精製用カラムの修理、物品の納期が従来より大幅に遅れたことも一因にある。
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今後の研究の推進方策 |
1)尿素およびTMAOについて、KaiCリン酸化周期長、ATPase活性、リン酸化活性に変化が見られたことから、そのメカニズムの解明を行う。 2) KaiCリン酸化サイクルの決定因子であるATPase活性が加圧により増加することから、負の活性化体積を算出した。これらの結果から、体積揺らぎがATPase活性を制御するという仮説に至った。これまで確認されているKaiC周期長変異体を用いて仮説を検証する。 3) KaiCリン酸化周期長とATPase活性のpH依存性を調べる。
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