研究領域 | 進化の制約と方向性 ~微生物から多細胞生物までを貫く表現型進化原理の解明~ |
研究課題/領域番号 |
20H04860
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 郁夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (30600548)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | NOTCH2NL / ヒト脳進化 / 大脳皮質 / 遺伝子重複 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトだけが固有に保有するNOTCH2NL遺伝子は胎児期の大脳皮質幹細胞において機能し、ニューロンの数を増やすことにより脳容積を拡大させる効果を持つ。さらに、NOTCH2NL遺伝子はゲノム中に4コピー存在し、それぞれの配列がわずかに異なる。本研究においては、NOTCH2NL遺伝子のバラエティの個人差がヒトの脳発生に与える影響を知ることを目的とし、個人ゲノミクスのデータ解析と実験的な機能解析により検証する。本研究の成果により、ヒト固有遺伝子NOTCH2NLと脳発達疾患の関連性に加え、脳進化のメカニズムが理解できる様になると期待できる。
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研究実績の概要 |
ヒトは類人猿と比較して著しく拡大した大脳皮質を獲得し、内部の複雑化した神経回路が基盤となり高度な認知機能を有するに至った。チンパンジーとの分岐以降に人類が獲得したNOTCH2NL遺伝子は胎児神経幹細胞で発現しニューロン産生を促進することにより、脳の拡大進化に寄与したことをこれまでに報告した。本研究ではNOTCH2NL遺伝子のアリル多様性の人類集団における多様性と、機能的意義についての解析を行い、以下の成果を得た。NOTCH2NL遺伝子には神経幹細胞を維持する効果が強い野生型アリルと効果が弱い変異型アリルが存在する。大多数の正常発生中のヒト胎児脳においては野生型アリルと変異型アリルの両方が転写されており、NOTCH2NLの機能が高すぎず、また、低すぎない一定の量に制御されていることがわかった。また、NOTCH2NLアリルの機能的な違いは、1アミノ酸置換により生まれる糖鎖修飾パターンの差異が細胞内局在を変化させることに起因していることも明らかになった。野生型アリルは小胞体に強く局在しタンパク質のフォールディング促進経路を抑制することによりNotchシグナル関連タンパク質の合成を阻害するのに対し、変異型アリルは小胞体に留まらないためにNotchシグナルに与える影響が少ない。こうしたNOTCH2NLの機能は神経幹細胞を未分化に止めることに役立っているが、一部の分化ニューロンにおいてもNOTCH2NLは発現している。ニューロンにおいてもNOTCH2NLは細胞移動を中心として神経回路形成を制御していることが新たに明らかになった。以上の結果から、本研究において当初計画していた3つの課題はおおむね達成することができ、NOTCH2NL遺伝子の獲得による脳進化メカニズムを解明し、さらに今後の研究の新たな方向性を得ることができた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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