公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
近年、炎症慢性化における細胞死の意義が注目を集めており、死細胞に由来するDAMPsや死細胞クリアランスの意義が明らかになってきたが、死細胞を起点とする炎症細胞ネットワークの全貌は未だ未解明である。研究代表者は、マクロファージに発現する新規死細胞センサーのMincleに着目して、死細胞応答が誘導する炎症慢性化機構の解明に取り組んできた。本研究では、Mincle活性化に伴って多彩な間質細胞の数や種類がどのように変化するか、炎症細胞社会を構成する細胞間ネットワークの変容を明らかにする。
本研究では、急性炎症モデルとして腎虚血再灌流傷害による急性腎障害モデル、慢性炎症モデルとして高脂肪食負荷による肥満モデルを用いて、Mincleを起点とする炎症細胞社会の制御メカニズムを検討する。本年度は、以下の3項目に関して実施した。1)Mincleリガンド産生メカニズムの検討;既に質量分析解析により、壊死尿細管でβ-グルコシルセラミド量が増加することを確認している。本項目では、壊死尿細管においてβ-グルコシルセラミドが蓄積するメカニズムを検討したところ、急性腎障害後、グルコシルセラミドが蓄積する方向に様々な代謝酵素の遺伝子発現が変化することを見出した。また培養近位尿細管細胞に細胞障害を加えて急性腎障害を模倣するin vitroモデルを作製したところ、同様の遺伝子発現プロフィールを確認した。2)Mincleシグナルの検討;これまで、β-グルコシルセラミドを細胞培養ディッシュに固相化することでMincleリガンド活性を検討してきたが、細胞を播種した時点でMincleシグナルが活性化するため、詳細な検討ができなかった。本項目では、β-グルコシルセラミドとコレステロールを共結晶化し、培養マクロファージに添加する方法を用いて、固相化と同様のMincleシグナル活性化が得られることを確認した。3)包括的1細胞遺伝子発現解析;本領域のサポートを得て、肥満の脂肪組織を対象とする包括的1細胞遺伝子発現解析を実施した。特にマクロファージと線維芽細胞に注目して、肥満の過程で増加する亜集団を同定し、さらにリガンド・レセプター解析によりマクロファージと線維芽細胞の相互作用を検討した。その結果、線維化ステージにおいて特徴的な細胞間相互作用を複数見出すことができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 13件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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