公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、氷期・間氷期という大規模な気候変動が生じた際の、南極ドームふじコアにおけるダストとブラックカーボンの濃度、フラックス、粒径の変動を復元し、ダストとブラックカーボンの発生源や輸送・沈着過程の変動を解明する。また、南米大陸等、南半球の陸域で大規模な砂嵐や森林火災が発生した際にドームふじコアに出現するダスト及びBCの鋭い濃度ピークを抽出する。気候変動に伴い、これらのピークの原因となる砂嵐や森林火災の頻度と規模がどう変化したかを解明する。南極で掘削された他の氷床コアからも、同一の砂嵐や森林火災のイベントを抽出することで、ダストとBCを用いた複数の南極氷床コアの年代同期法を開発する。
本研究では、ダストとブラックカーボン(BC)が放射強制力に及ぼす影響や、気候変動に伴う砂嵐・森林火災の変化のメカニズム解明に資するため、最終氷期最寒期~完新世中盤にかけての時代に着目し、南極ドームふじで掘削された氷床コア(ドームふじコア)のダストとBCを分析し、その変動を研究した。本年度は、昨年度に引き続き、氷床コア連続融解分析システム(CFAシステム)を用いて、ドームふじコアを高時間分解能で連続分析した。CFAシステムを構成するレーザー式水同位体比分析計で水の安定同位体比を分析し、気温変動を復元した。CFAシステムを構成するレーザー遮蔽式の固体微粒子分析計(Abakus)でダストの濃度と粒径分布の分析を、白熱式BC分析計でBCの濃度と粒径分布の高精度分析を実施した。CFAシステムによる高時間分解能の連続分析に加えて、CFAシステムで分注した融解水の一部を用いて、コールターカウンター分析を行い、ダストの粒径と濃度を50cm分解能で、高精度分析した。本研究で取得したドームふじコアのデータを解析し、気温、BC、ダストの変動を高時間分解能で復元した。BCとダストについては、濃度だけでなく、粒径の変化も解析した。ダストの粒径の解析には、FPP、モード径、及びダスト粒子1個あたりの平均体積という指標を用いた。分析データを解析し、気候変動に伴って、BCとダストの濃度だけでなく、粒径も大きく変化したことが明かになった。また、ダストの元素組成も変化したことが明かになった。さらに、ドームふじコアの解析結果を、ドームCコア及びWAISコアのデータと併せて解析し、気候変動に伴う南米の砂嵐や森林火災の発生状況や南極への輸送・沈着過程の変動に関する知見を得た。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件)
Atmospheric Chemistry and Physics
巻: 22 号: 13 ページ: 8989-9009
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Aerosol Science and Technology
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The Cryosphere
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巻: 13 号: 12 ページ: 6703-6731
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