研究領域 | 共創的コミュニケーションのための言語進化学 |
研究課題/領域番号 |
20H05000
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
狩野 文浩 京都大学, 野生動物研究センター, 特定准教授 (70739565)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
留保 (2021年度)
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配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 類人猿 / 心の理論 / 予測的注視 / アイ・トラッキング / 視線 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者のこれまでの一連の研究において、類人猿が、他者が「誤信念」をもつ、すなわち、現実とは異なる状態を信じているときにおいても、他者の行動を予測できることが明らかになった。しかし、専門家の間では意見が割れており、予測的な注視が、心の理論というよりは、心の理論に近似した能力、「ミニマル心の理論」に基づくものではないかという仮説が提唱されている。本研究は、この仮説を再検討することを目的とする。
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研究実績の概要 |
心の理論(他者の心的状態に関する理解)に関して研究を行い、前年度までに、アイ・トラッキングを用いた予測的な注視課題において、類人猿が他者の誤信念(現在の状況とは異なる状況に対する信念)を理解する可能性を示唆する成果を上げた。今年度は、同実験がマカクザルでも追試された成果を受けて、短い総説を執筆した。また、予測的な注視課題において示唆された誤信念理解については、ヒトの子供が4歳以降に示す真の誤信念理解とは異なり、特殊な認知プロセスによる限定的な心の理論(ミニマル心の理論)だとする主張がある。この主張では、とくに、アイ・トラッキングを用いた予測的な注視課題において、ヒトの子供や大人を対象にした実験において特定の実験条件を変えたとき(他者の誤信念を導入するために、他者の興味対象物の位置を変えるのではなく、種類を変える)、誤信念理解を支持する証拠が得られなくなるという報告に基づいて限定性が定義されている。しかし、それらの先行実験は直感的に理解が難しい課題が用いられており、より簡単な課題において、同様の結果が得られるのかがまだ検討されていない。今年度は、その点を検討するため、類人猿を対象に、先行実験をさらに(簡潔に)改変したアイ・トラッキングを用いた予測的な注視課題を行った。ライプチヒ動物園(マックスプランク人類進化研究所)と、熊本サンクチュアリ(京都大学)と、霊長類研究所(京都大学)において、様々な類人猿種を対象に実験を行った。データは分析中であるが、一部の類人猿グループにおける結果では、改変された課題においても誤信念理解を示唆するデータが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍によって、ヒトを対象とした実験は遅れているが、動物を対象とした実験は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
申請者が2021年4月1日よりコンスタンツ大学に就職したために、課題を中断し、帰国後、研究を再開する予定である。ヒトの大人と子供を対象にした実験も行う予定であったが、コロナ禍の影響によって遅れている。渡航中あるいは帰国後には実験(上記の改変された予測的注視課題)を行うことができると思われる。
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