公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
睡眠ステージはノンレム睡眠とレム睡眠からなるが、それぞれ全く異なる神経活動を呈する。申請者はそれぞれの睡眠ステージにおいて、情報の流れの方向や大きさが全く異なるのではないかと考えている。本研究ではマウスを用いて、睡眠時他脳領域間神経活動ダイナミクスを解析する。さらに睡眠時特異的な脳幹脳波(PGO波)を光操作することで、睡眠ステージと記憶の定着・消去の相関関係を明らかにする。異なる睡眠ステージでの脳情報動態の違いこそが生理的役割に違いを生み出しているという仮説を検討する。
我々ほ乳類の睡眠ステージは、ノンレム睡眠とレム睡眠からなる。ノンレム睡眠とレム睡眠は、同じ睡眠状態であっても、神経活動がそれぞれ同期、脱同期し、全く異なる脳状態をとる。また、記憶の定着・消去では、異なる睡眠ステージで、相反する役割を担っていることが示唆されてきている。ノンレム睡眠とレム睡眠は、等しく外部からの感覚入力が遮断された状態である。しかしながら、なぜこのような全く様相の違う神経活動、生理的役割を持ちうるのか、そのメカニズムは全く分かっていない。我々は、それぞれの睡眠ステージにおいて、情報の流れの方向や大きさ、つまり脳内情報伝達動態が全く異なるのではないかと考えている。さらに、その動態の違いこそが、ノンレム睡眠とレム睡眠の生理的役割である記憶の定着・消去に違いを生み出しているのではないかと予想している。本研究では、睡眠中に脳幹で発生するPonto-geniculo-occipital(PGO)波に着目し、ノンレム睡眠、およびレム睡眠における脳内情報伝達の方向や大きさの差異をマウスを用いて明らかにする。また、これまでの研究からPGO波の発生頻度と恐怖条件消去学習の成立に正の相関があることが示されており、PGO波は記憶学習において重要な役割を果たしていると考えられる。そこで、光遺伝学的手法を用いて、PGO波の発生頻度をノンレム睡眠、あるいはレム睡眠特異的に制御することで脳波や神経活動を制御した結果、記憶定着・消去にどのような影響を及ぼすか検討する。本研究により、睡眠ステージに応じた脳内情報伝達と記憶の相関関係を明らかにする。本研究は、ノンレム睡眠とレム睡眠の生理的機能の違いを生み出すメカニズムを追求し、2つの睡眠ステージの存在意義に迫る。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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