研究領域 | 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 |
研究課題/領域番号 |
20H05103
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
磯部 寛 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (00379281)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 光化学系II / 酸素発生中心 / マンガンクラスター / アミノ酸残基 / 機能発現 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のX線自由電子レーザーを用いた時間分解構造解析技術の進展は目覚ましく、我々が予想もしなかった結果が次々と発表されている。例えば、光化学系II 複合体のS2 → S3遷移において、酸素発生中心周辺の水和量が増加すると同時に、アミノ酸残基の配向構造変化が起こり、新たな基質水分子がMnクラスターに結合することが報告されている。本研究は、このようなアミノ酸残基の経時的な配向構造変化とMnクラスターの触媒作用の関連性を、密度汎関数法を用いた理論的アプローチにより明らかにすることを目的とする。この研究により、Mnクラスターの機能発現を引き起こすトリガーとしてのアミノ酸配位子の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
光合成Mnクラスターによる水分解・酸素発生反応の過電圧が極めて低いのは何故か?本研究では、理論的な方向からこの疑問に答え、その原理を普遍的な法則あるいは概念として構築することを目指した。その結果、正電荷(ホール)を3つ蓄積したMnクラスターの3次元空間配置がアミノ酸配位子により緻密に制御されることで自発的に発現する協同現象が本質的な役割を果たす(つまり、多電子反応の活性化エネルギーと再配置エネルギーの両方を減少させる)ことが見出された。協同効果が発現する上で重要な要素を5つ挙げると、以下のようになる。①共有結合性:基質水分子が結合したMnクラスターでは、Mnのeg軌道とO2の反結合性σ*又はπ*軌道の重なりを最大化する結合様式をとるため、電子が金属と基質間で容易に移動できる。②非局所応答性:基質由来の電子がMn(IV)のeg軌道に入ることによって生じる自発的なJahn-Teller局所歪を介して、3つのサイトが相互に絡み合う結果、クラスター全体にある特別な構造変化(open-closed cubane間の構造変化)が誘起される。③スイッチング機能:open及びclosed cubane構造はMnの価数分布(4443と3444)と一対一に対応しているが、その対応関係はMn(IV)配位不飽和サイトに結合した基質が脱プロトン化することで反転する。その結果、基質が適切な形態で結合した後でのみ非局所応答が起こり、構造変化に伴う金属の電荷状態変化を金属と基質間の3電子移動に高効率で変換できるようになる。④アミノ酸残基の経時的構造変化:時間の経過に伴って表れるアミノ酸残基の動的な構造変化は、open及びclosed cubane構造の安定性を相対的に変化させることで、触媒反応を誘導する駆動力を生み出している。⑤「歪んだ椅子」型構造:①-④を可能にしているのは、触媒の「歪んだ椅子」型構造に他ならない。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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