研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05144
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 分子性有機導体 / 量子電荷液体 / 量子スピン液体 / ダイマーダイポール / 分子性有機物質 / 量子電荷液晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,強相関電子系分子性有機物質,特に分子ダイマー構造を有するBEDT-TTF 系電荷移動錯体における分子ダイマー配向パイ電子の新しい量子物性を確立し,分子性有機物質における新しい量子液晶物質・物性の開拓を推進する.特に,量子スピン液体物質において,分子ダイマー配向に制限された電荷ゆらぎ,分子格子との結合を起源とする複合的な量子的電荷ダイポール/スピン液体・液晶状態を明らかにする.本研究の成果として「量子液晶」の概念をパイ電子系で具現化させる.
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研究実績の概要 |
本研究では,分子性有機物質である量子スピン液体k-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3 とその周辺物質を対象として,スピン非秩序状態における電荷(ダイマーダイポール)揺らぎ-分子格子フォノン結合によるクラスター化・液晶化形成を低エネルギー分光手法により実験的に明らかにすることを目的としている.2021年度は,同物質に対する遠赤外-赤外反射分光手法により電荷揺らぎを反映する低エネルギー領域での光学スペクトル測定を行い,モット絶縁体状態であるはずの量子スピン液体状態において,明瞭な光学ギャップが開かずに電荷が揺らいだままである兆候が光学伝導度スペクトルに観測された.この結果は,本物質の量子スピン液体状態に特徴的な電荷揺らぎ(ダイマーダイポール)が励起スペクトルとして現れることを示している.この結果は,量子液晶の構成要素と考えるダイマーダイポールのゆらぎが量子スピン液体状態形成の要因である可能性を示すものである.この電荷状態については,分子格子との結合も合わせて考える必要がある.このため非弾性中性子散乱実験による格子ダイナミクス測定を計画し,中性子実験施設(グルノーブルILL,フランス)におけるリモート実験を国際共同研究として実施した.この結果,この物質で6K異常として種々の物理量に異常が観測される温度よりも高温側では,異常なフォノンダンピングが観測された.これはダイマーダイポールによる電荷揺らぎが格子と結合した結果を反映した現象と考えられる.一方で6K以下では,フォノン構造が明瞭になり,電荷揺らぎが凍結しフォノンとの結合が弱くなっていることを示唆する結果を得た.この観測は6K異常が非磁性低温秩序(VBS)相への相転移であるとする報告とも対応する.現在,理論研究者と微視的機構の検討を行いフォノン異常と電荷揺らぎ/スピン液体との相関についての論文を準備している.
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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