公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ゲルマニウムスズは、混晶比によりエネルギーバンド構造などを巧みに制御できる次世代の半導体材料である。代表者が発見したフォノンのみ散乱されやすい結晶粒界を機能コアとみなし、電子や正孔が結晶粒界で散乱されにくい理由やフォノンの散乱に有効な粒界構造を明らかにすべく研究を推進する。最終的には、従来の半導体材料であるシリコンも含めたIV族混晶半導体の結晶粒界で生じる電子・正孔・フォノン散乱の物理モデル構築を目指す。
本研究における機能コアとは、「格子振動(フォノン)のみ散乱する結晶粒界」と定義している。本公募研究においては、最近申請者が見出した「 ゲルマニウムスズ(Ge1-xSn)薄膜中のフォノンのみ散乱する結晶粒界」に対して、正孔が結晶粒界で散乱されにくい理由、フォノン散乱に有効な粒界構造、電子に対する結晶粒界の影響の3点を明らかにすることを目的としている。本年度は、「フォノン散乱に有効な粒界構造」を明らかにすることを目指し、多結晶薄膜とエピタキシャル薄膜の2種類の試料を準備し、熱伝導率計測を行なった。多結晶薄膜中のランダム粒界では、他の材料系と同様、フォノンが散乱され熱伝導率の大幅低減を達成したが、電気伝導率も劣化してしまった。一方、エピタキシャル薄膜中の微傾斜により形成される結晶ドメイン界面でも、フォノンが散乱される(熱伝導率が低減できる)ことが明らかとなった。不純物散乱・ウムクラップ散乱・粒界散乱の3つを考慮した熱伝導率の数値計算も実施した。実験結果と合わせこむことで、Ge1-xSnx薄膜の熱伝導率を同定可能なユニバーサルな関係式を構築することに成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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