研究領域 | 全能性プログラム:デコーディングからデザインへ |
研究課題/領域番号 |
20H05369
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高岡 勝吉 徳島大学, 先端酵素学研究所, 准教授 (90551044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 全能性 / マウス胚 / 細胞分化 / 不妊治療 / 着床 / 非対称性 / ライブイメージング / 受精 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類胚における全能性とは、胎盤を含む全ての体を構成する細胞に分化しうる能力であり、受精直後の受精卵のみが有する。割球を分割して発生させる実験より、マウス4細胞期の受精卵は1つの割球ですでに分子レベルの全能性の不均一性が生じており、すでに全能性の消失が開始していることが報告されている。しかし、4細胞期の不均一な全能性の生物学的意義と不均一性が生み出されるメカニズムは、4細胞期胚の各割球の分化状態を明確に区別するマーカーがなかったため、不明であった。本研究では、マウス胚における最初期の細胞分化、すなわち全能性消失機構の分子メカニズムを解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
哺乳類胚における全能性とは、胎盤を含む全ての体を構成する細胞に分化しうる能力であり、受精直後の受精卵のみが有する。割球を分割して発生させる実験より、マウス4細胞期の受精卵は1つの割球ですでに分子レベルの全能性の不均一性が生じており、すでに全能性の消失が開始していることが報告されている。しかし、4細胞期の不均一な全能性の生物学的意義と不均一性が生み出されるメカニズムは、4細胞期胚の各割球の分化状態を明確に区別するマーカーがなかったため、不明であった。本研究では、マウス胚における最初期の細胞分化、すなわち全能性消失機構の分子メカニズムを解明することを目的とした。 8細胞期でのESE陽性細胞の由来を明らかにするために、ESE(Venus)と全割球の細胞膜を蛍光標識したOct3(memTomato) Tg胚を用いて、1細胞期から胚盤胞期まで経時観察した。この結果から、蛍光経時観察の結果から、マウス着床前胚の形態的特徴とESE陽性細胞の位置関係を調べた。 具体的には、細胞分化と関係があると報告されている精子貫入点(Plusa et al., Nature 2004)、細胞分裂面(Plusa et al., Nature 2004) (Yamanaka et al., Dev.Dyn. 2006)や、着床点に対しての遠近軸に注目し、位置相関を調べた。 またESE制御機構を明らかにするために、ESE陽性細胞特異的に発現する遺伝子をRNA-seqを用いて調べる。具体的には、4-8細胞期のESE(Venus)陽性割球を蛍光顕微鏡下で分離し、ESE(Venus)陽性細胞と陰性細胞それぞれをRNA-seqすることで、ESE 陽性細胞特異的に発現している遺伝子を同定する準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス胚における最初期の細胞分化、すなわち全能性消失機構の分子メカニズムの解明に必要な実験材料が予定通り準備でき、2021年度に解析を行っていく。具体的には、8細胞期でのESE陽性細胞の由来を明らかにするために、ESE(Venus)と全割球の細胞膜を蛍光標識したOct3(memTomato) Tg胚を用いて、1細胞期から胚盤胞期まで経時観察した。この結果から、蛍光経時観察の結果から、マウス着床前胚の形態的特徴とESE陽性細胞の位置関係を調べた。 具体的には、細胞分化と関係があると報告されている精子貫入点(Plusa et al., Nature 2004)、細胞分裂面(Plusa et al., Nature 2004) (Yamanaka et al., Dev.Dyn. 2006)や、着床点に対しての遠近軸に注目し、位置相関を調べた。 またESE制御機構を明らかにするために、ESE陽性細胞特異的に発現する遺伝子をRNA-seqを用いて調べる。具体的には、4-8細胞期のESE(Venus)陽性割球を蛍光顕微鏡下で分離し、ESE(Venus)陽性細胞と陰性細胞それぞれをRNA-seqすることで、ESE 陽性細胞特異的に発現している遺伝子を同定する準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ESEの発現制御機構について、現在得ている50bpのESE最小領域を基にし、さらに詳細なマッピングを行う。さらに、得られたESE特異的に発現する因子の結合配列や、ゲノミックインプリンティング関連因子を有力候補にして、エンハンサー解析を行い、ESEを制御するコア配列を同定する。さらに、ワンハイブリッド法やゲルシフト法を用いて、ESEを直接制御する因子を同定する。このように、全能性消失機構の分子メカニズムの解明に引き続き取り組む。
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