公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
初期の着床前胚は、胎盤の細胞を含む全ての細胞へと分化できる「全能性」を有している。一方、ES細胞およびiPS細胞は、体を構成する全ての細胞に分化できるが、胎盤の細胞には分化できない「多能性」細胞である。しかし、ES細胞には低率であるが、全能性を有する亜集団が存在することを示唆する報告がなされている。本研究では、申請者らが全能性の観点から解析してきた着床前胚において特異的に発現する遺伝子を手がかりに、ES細胞に含まれる“真の全能性細胞”を同定・可視化することを目的とする。また、全能性を保持したまま増殖させることが可能な“全能性幹細胞”の樹立を行い、全能性の分子基盤を解明することを目的とする。
ES細胞は、胚盤胞期の将来胚体を形成する内部細胞塊から樹立された細胞であり、胎盤などの胚体外組織への分化能を失った多能性細胞であると信じられてきた。しかし、近年、ES細胞には非常に低い割合で内在性のレトロウイルスであるMuERV-Lを発現する細胞集団(2細胞期様細胞)が存在し、これらの細胞集団は初期の着床前胚に移植した場合に、内部細胞塊だけではなく、栄養外胚葉にも寄与することから、全能性を有すると結論されている(Macfarlan TS et al. Nature2012)。しかし、これまでの研究から、2細胞期様細胞は全能性細胞を含むヘテロな細胞集団であることが明らかとなっている。そこで、本研究では、1個の細胞が分裂を経て内部細胞塊と栄養外胚葉に寄与できる“真の全能性細胞”を同定・可視化することを目的とした。また、全能性を保持したまま増殖させることができる“全能性幹細胞”を樹立し、細胞の全能性を規定する分子基盤を解明することをもう一つの目的とした。今年度は、ES細胞から2細胞期様細胞の中間体として知られているZscan4c陽性細胞をソーティングし、Duxのプロモーター領域のDNAメチル化状態を検討した。その結果、Zscan4c陽性細胞においてDuxプロモーター領域が部分的に脱メチル化していることが明らかとなった。このことから、アスコルビン酸によりTETが活性化されることにより、Duxの脱メチル化が促進され、2細胞期様細胞が効率よく誘導できる可能性が示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (3件)
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https://www.nagahama-i-bio.ac.jp/research/?is_archive=1&news_year=2021
https://www.nagahama-i-bio.ac.jp/research/?is_archive=1&news_year=2020