研究領域 | 細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生 |
研究課題/領域番号 |
20H05415
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤本 仰一 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60334306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 数理モデル / 細胞分裂面 / 形態形成 / メカノバイオロジー / 幾何学 / 理論生物学 / メリステム / 花 / コケ植物 / コケ |
研究開始時の研究の概要 |
コケ植物から被子植物に至る地上部の体制は空間周期性を示す。被子植物の花器官は幹細胞組織(メリステム)の周縁へ同心円状に配置し、この配置に含まれる器官の数が周期となる。コケ植物では幹細胞の細胞分裂面の数が空間周期と強く相関する。これら周期は系統ごとに変調されることで多様性を創出するが、その仕組みは未解明である。本研究では、花器官配置および幹細胞の分裂面の数理モデリングとともに、実験データ定量解析と相互フィードバックを行い、空間周期を構成し変調する発生基盤を絞り込む。さらに、コケと花の空間周期の調節原理の共通性を理論的に探求する。
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研究実績の概要 |
細胞分裂面を決定するルールをヒメツリガネゴケの葉になる組織で見出した。分裂面が親細胞の重心を通る知見と、野生型およびshr (shoot root)変異体それぞれの親細胞の形をphase-fieldモデルへ導入して、面積最小の曲面を探索した。その結果、shr変異体で観測した分裂面は、面積最小曲面の方向や位置と一致した。一方で、野生型の分裂面は、面積最小曲面と一致する細胞と大きく異なる細胞とが、ほぼ同頻度であった。この結果は、shrが重心を通る面積最小則(Errera’s rule)を「上書き」して分裂面を決定することを示唆する。 また、Anemoneなどの花器官の空間的配置に関する数理解析を動物に応用した。イソギンチャク(sea anemone)において、内臓器官の配置が左右対称な個体と放射対称な個体が同種内で共存することを、動物で初めて見出した。花器官配置の数理モデルを応用して解析を進め、対称性を制御する発生基盤を予測した(Zoological Lett. 2021)。 さらに、領域内融合研究を通じて、異なる細胞群との境界を形作る力学的仕組みを見出した。Arabidopsis根維管束の細胞分裂に伴い、木部と前形成層の境界は、直線的に細胞が配置することを我々は見出してきた。分裂は、境界から離れた2か所に対称に位置する師部へ局在した。我々はこの局所的かつ空間対称な分裂パタンをvertex modelへ導入した結果、師部から境界の方向への異方的な応力が維管束全体に生じた。この大域的な応力場が境界を圧迫した結果、境界の細胞配置が直線化した。動物上皮組織では、境界近くでの局所的な応力の生成が境界を形づくる。これに対して本成果では、遠位側に対称に局在する分裂による大域的かつ対称な応力の生成が境界を形づくる。この仕組みは、細胞壁などにより細胞が移動しにくい組織にとって力学的に適している。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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