研究領域 | 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
20H05496
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 泰彦 筑波大学, 数理物質系, 教授 (00191453)
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研究期間 (年度) |
2020-10-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 四重鎖DNA / ヘム / G-カルテット / 酸化触媒作用 / キラターゼ活性 / 核酸酵素 / 四重鎖核酸 / 機能創発 / RNAワールド / 生命の誕生 / 四重鎖RNA / U-カルテット / 金属付加酵素 / 機能性核酸 / 触媒機構 |
研究開始時の研究の概要 |
リボザイムの発見は、原始地球上における前生物進化で存在していたと考えられている「RNAワールド」仮説の根拠の一つとして知られている。ただし、現在知られているリボザイムは、加水分解反応に対する触媒活性を示すRNAのみであるので、「RNAワールド」における自己複製系の実現には不十分である。生命の起源に迫るためには、多様な機能を示すリボザイムを新しいアプローチで探索する研究が必要である。本研究では、原始地球上で存在していた可能性があるテトラピロール類と生命金属の錯体を補欠分子族として四重鎖RNAに組込むことにより、生命誕生の鍵となる触媒活性を示すリボザイムを創製する。
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研究実績の概要 |
私は、生物界に遍在する四重鎖核酸とヘムの相互作用の理解は、生命誕生、さらには生物進化を理解する上で、重要な鍵になると考えている。今年度は、四重鎖DNAが環状テトラピロール類への金属イオン挿入反応を促進する酵素キラターゼとして作用する可能性を検討する研究、そしてヘムと四重鎖DNAの複合体が示す触媒活性の発現機構を解明する研究を行った。 ヘムの生合成では、最終段階でポルフィリン環へのFe2+の挿入が起こる。この反応は遅いので、生体内では酵素が存在する。私は、プロトポルフィリンⅨ (PPIX)へのCu2+挿入反応に対する四重鎖DNAのキラターゼ活性を解析した。まず、NMRにより、PPIXは四重鎖DNAの3’末端G-カルテットに特異的に結合することを明らかにした。そして、PPIXに10当量の四重鎖DNAを添加すると、Cu2+挿入反応の初速度が約30倍増大することを明らかにし、四重鎖DNAのキラターゼ活性を実証することに成功した。PPIXとG-カルテットの接触界面において、G-カルテット中央の電子豊富なカルボニル酸素原子にCu2+が結合することで、その後のPPIXへの配位に必要な複数の反応が促進されたと考えられる。 ヘムは、四重鎖DNAの3’末端G-カルテットに特異的に結合し、酸化触媒活性をもつ複合体を形成する。これまでの研究から、複合体の酸化触媒活性の発現には、軸配位子としてヘム鉄に結合する水分子が重要な役割を担っていることが推測されている。私は、複合体の反応性の調節に重要だと考えられている当該水分子に由来する1H NMRシグナルの観測に成功した。さらに、当該水分子の電子的性質を明らかにすると共に、ヘム鉄を介した当該水分子とヘムの電子的相互作用の検出にも成功した。当該水分子の性質の解明を通して、G-カルテットに結合したヘムが示す触媒活性の発現機構の解明が飛躍的に進むことが期待される。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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