公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)症例における鉄過剰が報告されているが、その機序や肝臓内における責任細胞は明らかになっていない。研究代表者は、独自の動物モデルを用いて、肝細胞死を起点としてクッパー細胞が活性化し、肝線維化が生じることを明らかにしてきた。そこで本研究では、クッパー細胞の鉄代謝変容がもたらす肝線維化の分子メカニズムの解明を目指す。本研究の成果により、アンメット・メディカル・ニーズの高いNASHに対して、鉄代謝異常に着目した発症機序解明と新規治療法開発への展開が期待される。
本研究では、クッパー細胞において鉄が過剰に蓄積する細胞内動態と鉄過剰によるクッパー細胞の機能変容を検討し、新たな肝線維化機序の解明を目指す。本年度は、以下の3点に関して検討を行った。1)様々なNASHモデルにおける検証;昨年度までに見出したクッパー細胞におけるリソソームストレスの亢進を様々なNASHモデル、即ちメチオニン・コリン欠乏食負荷モデルやウェスタンダイエット長期負荷モデルなどを用いて確認した。リソソームストレスの指標として、MiT/TFEファミリー転写因子のTFE3, TFEBの免疫染色を行った。2)鉄が過剰蓄積するメカニズムの検討;NASH進展過程において鉄を多く含有するクッパー細胞の数が増加し、炎症・線維化形質を獲得するメカニズムとして、NASH肝からクッパー細胞を単離し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、鉄代謝に関わる遺伝子発現プロフィールの変化で必ずしも鉄過剰蓄積を説明できず、死細胞(肝細胞)貪食など局所での鉄代謝変化を想定するに至った。3)炎症・線維化促進形質を獲得するメカニズムの検討;脂肪肝マウスに鉄を負荷すると炎症・線維化が促進するが、正常マウスに同様の負荷を与えても明らかな変化を認めなかった。そこで、脂肪肝および正常肝からクッパー細胞を調製してトランスクリプトーム解析を実施し、両者の遺伝子発現プロフィールを比較した。その結果、脂肪肝由来クッパー細胞において既に炎症性サイトカイン系遺伝子が発現亢進することに加えて、複数の代謝経路が変化する可能性を見出した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 13件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
The FASEB Journal
巻: 36 号: 2
10.1096/fj.202101385rr
Frontiers in Immunology
巻: 12 ページ: 650856-650856
10.3389/fimmu.2021.650856
Nature
巻: 595 号: 7866 ページ: 266-271
10.1038/s41586-021-03624-x
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 11137-11137
10.1038/s41598-021-90086-w
Biomed Pharmacother
巻: 140 ページ: 111738-111738
10.1016/j.biopha.2021.111738
iScience
巻: 24 号: 2 ページ: 2102032-2102032
10.1016/j.isci.2020.102032
Nagoya Journal of Medical Science
巻: 82 号: 3 ページ: 391-397
10.18999/nagjms.82.3.391
120006881540
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/records/30409
J Exp Med.
巻: 217 号: 11
10.1084/jem.20192230
Biochem Biophys Res Commun
巻: 530 号: 4 ページ: 665-672
10.1016/j.bbrc.2020.07.099
Endocrinology
巻: 161 号: 9
10.1210/endocr/bqaa102
Regenerative Therapy
巻: 14 ページ: 252-261
10.1016/j.reth.2020.03.012
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mmm/index.html