公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
そこで本研究では、病原性細菌が、ヒトという宿主を選択するために金属の輸送系の機能をどのように進化させてきたのかについて、その機能を進化的な側面から明らかとすることで、病原性細菌の宿主への適応における金属輸送系の機能的重要性について解明する。このような属あるいは種特異性の高い金属輸送系の構造の違いや機能を明らかにできれば、これらの病原性細菌に対する新規治療薬の標的となることから、医学的な観点からも重要な研究である。
-A群レンサ球菌におけるZn輸送系には、獲得系としてAdc系、Pht系が存在している。そのうちAdc系は、レンサ球菌属に特異的に存在し、かつその病原性の発現に重要であることが示唆されている。そこで、これらの遺伝子破壊株を全て作成し、その表現系の解析を行った。まず、細菌種に広く分布しているZn獲得系であるPht系の破壊株では、A群レンサ球菌の成育には全く影響が見られなかった。ところがAdcA-I, AdcA-II, AdcBC系の遺伝子破壊株では、その増殖の抑制が認められた。そこで、これらの遺伝子破壊株を用いてマウスに対する病原性を確認したところ、AdcI欠損株では致死毒性がほとんど変化しなかったにも関わらず、AdcII欠損株およびAdcBC欠損株では、著しい病原性の減弱が認められた。そのため、AdcA-IIは、単に増殖に関与するだけでなく、病原性の発現に必須であることが示唆された。 AdcA-IIの遺伝子についてその進化的な側面から解析を行うと、AdcII-A遺伝子を持つ菌は、レンサ球菌属の中でもヒトに対して極めて高い病原性を示す菌であるA群レンサ球菌およびその近縁種のみに存在しており、その保存性が極めて高いことが明らかとなった。そのため、AlphaFold2を用いた構造解析を行ったところ、AdcII-AはZnを結合するポケット領域の4アミノ酸によってZnをホールドし、それらの点変異体でも同様に病原性の減弱が認められたことから、極めて菌種特異性の高い創薬対象になる可能性が示唆された。現在、AdcA-IIに対する抗体の作成および低分子化合物スクリーニングを行っている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 3件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 5件) 備考 (2件)
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