研究領域 | 情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理 |
研究課題/領域番号 |
20H05537
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
小松 英幸 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (90253567)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 熱測定 / 微小管 / アクチン / 細胞骨格 / 熱力学 / エンタルピー / エントロピー / 細胞骨格タンパク質 / 熱力学的解析 / エネルギー収支 / 重合・脱重合 |
研究開始時の研究の概要 |
真核細胞の細胞骨格は,線維状に集まったタンパク質が,複雑な網目状構造を形成する.それらの離合集散は,運動,形体や細胞内小器官の配置などのダイナミックな細胞活動に関わっている.本研究では,細胞骨格タンパク質の離合集散に伴う熱の出入りを測定し,熱力学パラメータ(自由エネルギー変化,エンタルピー変化及びエントロピー変化)を求め,エネルギー収支を明らかにする.細胞骨格の動態に伴うエントロピー変化を定量的に示すことができれば,アクチンや微小管のイメージングと組み合わせることで,細胞活動に伴うエントロピー変化のイメージングにつながる.このように細胞活動を情報物理学の観点から捉えなおすことを目指す.
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研究実績の概要 |
真核細胞では,線維状に集まったタンパク質(アクチンと微小管)が網目や管を形成し,細胞骨格と呼ばれる.これらのタンパク質は,細胞の構造を支えるだけでなく,離合集散し,運動,変形や細胞内小器官の配置などダイナミックな活動に関わっている.細胞骨格の離合集散(つまり重合/脱重合)では,大きなエネルギーの出入りが生じているが,その内容は不明である.本研究では,アクチンと微小管の重合にともなう熱の出入りを測定し,エネルギー収支の内容を明らかした.重合の程度(重合しているタンパク質と脱重合しているタンパク質の濃度比)から重合に必要なエネルギー量(自由エネルギー変化)が,熱の出入りから重合にともなって変化したエネルギー量(エンタルピー変化)が,分かる.さらに,これらの差から,重合によりタンパク質と置かれている環境の乱雑さがどの程度変化したか(エントロピー変化)(乱雑になるほど反応が進みやすい)を知ることができる. まず,微小管の重合状態を,微小管を抗がん剤などで使用されている薬物と細胞内に存在するタンパク質で安定化させたときの熱測定を実施した.その結果,微小管を薬物により安定化する場合はエンタルピーで重合が進み,タンパク質で安定化する場合はエントロピーで重合が進むことが分かった.つまり,生体内で重合している微小管は,乱雑さを増していて,硬い管ではなく,動的な管ではないかと考えられる.次に,アクチンに,重合状態を安定化する薬物を加えて,重合が進む際の熱の出入りを測定した.生理的塩濃度では,エンタルピーで重合が進んだ.また,このとき,ATP加水分解による熱発生も観察された.これらの結果により,理論的研究と重合の温度依存性の実験結果を,直接熱測定により裏付けることができた.細胞骨格の重合の熱が測定できたことで,今後,細胞運動にともなうエネルギー収支の定量的議論が可能になると期待される.
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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