研究領域 | 実験社会科学 |
研究課題/領域番号 |
21012005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
南本 敬史 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (50506813)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2010年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 動機づけ / 報酬 / 数理モデル / 意思決定 |
研究概要 |
本研究は、社会科学などの分野で意思決定の変数として用いられている効用関数(あるいは価値関数)を動機付け行動に応用し、その脳内メカニズム解明に発展させることを目的としている。H21年度は、動機づけ行動課題を行うよう、サルにトレーニングを実施し、その行動時における脳血流量の変化についてPETを用いたactivation studyで解析した。その結果、動因が高い状態において、前頭眼窩野と腹側線条体に有為な血流の増加が認められた。この結果、これら2つの脳領野において、動因に基づいた動機付けレベルの計算、つまり効用関数の表現がなされている可能性を示唆する。H22年度は、動機づけの障害としてのうつモデルサルを作成し、うつ状態において動機づけ行動課題の成績が低下することを確認した。この動機づけの低下の要因について、数理モデルを基に解析したところ、報酬の感受性の低下、労働負荷感受性の増大によって動機づけが低下していることが分かった。さらに、脳内セロトニン分泌を促す抗うつ薬を投与することで、労働負荷感受性の増大のみが正常に戻ることが明らかとなった。以上の結果、動機づけの核となる効用関数の脳内計算に深く関わる脳部位(前頭眼窩野と腹側線条体)が明らかとなり、また効用関数の調節にセロトニンが深く関わることが明らかとなった.これらは効用関数計算と動機づけ調節の脳内メカニズムの全貌解明にむけた足がかりとなる。また、動機づけメカニズムという脳科学での理解と、ヒト社会行動のモデル化の構築という社会科学の取り組みを融合する上でも意義深い。
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