研究概要 |
近年,位置情報の利用が活発になりつつある.本研究の目的は「情報爆発時代における位置依存情報の作成・編集・利用基盤」の実現である.「位置」に関する情報は単なる座標のみではなく,空間や地理的な情報,隣接や近傍関係,時間的推移といったより高度な情報が含まれ,さらに,位置情報が実空間やネット上の情報と結びつくことにより,位置情報が爆発的に生成・利用されることが期待できる.しかし現在の位置情報処理システムは,これらの情報の作成・編集や利用を十分に支援できない.本研究ではこれらの高度な位置情報を「位置依存情報」と呼び,その作成手法や編集・利用手法について検討を行った.特に屋内向けの位置推定技術の確立により,これまで困難であった屋内での位置依存情報の応用を可能とし,新たなブレークスルーを実現した.具体的な成果としては,(1)位置依存情報の活用システムとして無線LAN位置推定を用いたiPhone用時刻表アプリ「駅.Locky」とその関連サービスを開発・運用した.2011年3月時点でこれらのサービスのユーザ数は80万人を越えている.(2)Gaussian Mixture Modelを用いた無線LAN電波情報の軽量モデル化と屋内位置推定の高精度化を実現した.(3)またこのモデルと位置推定手法を用いた屋内位置推定基盤Indoor.Lockyを開発した。さらに、(4)ユーザの状況に依存したサービス推薦システムApp.Lockyに基づく検証実験を行い、ユーザが求めるアプリの推定が可能であることを確認した。
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