研究概要 |
国立天文台では世界中に分散する天文データベースを高速ネットワークを介して連携させ,多波長・超大量の天文データを活用した天文学研究基盤となるヴァーチャル天文台(JVO)構築を進めてきた。2008年3月から他国VOとの相互連携したデータサービス機能の本格運用を開始した(http://jvo.nao.ac.jp/portal/)。現在国立天文台のすばるのデータをはじめとして世界中の10000以上の天文資源への透過的なアクセスが可能となっている。そして,JVOから取得できるデータを用いた学術論文も生み出されるようになった(Shirasaki et al., PASJ, 63S, 469(2011))。 今年度は,天球面上に検索可能天体のメタデータ情報を表示し,選択したメタデータが示すデータ本体を検索できる機能を,Google Sky APIを利用して実装、さらに,このように検索した大量データから有益な情報を迅速に引き出すために必要な並列データ解析システムをHadoopを利用して実装した。当該システムは単一CPUで処理する場合に比べて約60倍の速度で解析できる性能を誇る。さらに並列解析システムについてはその性能評価も実施し、HDFSへのアクセス効率を考慮したデータ配置を行うことが性能向上に効果的であることを明らかにした。本知見は、大量の天文データの解析処理のみならず他の科学分野におけるデータ中心型研究を推進する上でも重要な点である。 今後は,選択された広い天域に対する検索などを,並列処理により実現し,容易に多波長天文学・データベース天文学研究を実現することを目指してゆく。
|