研究領域 | 海洋表層・大気下層間の物質循環リンケージ |
研究課題/領域番号 |
21014008
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10304396)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 分子地球化学 / XAFS / エアロゾル / 化学種解析 / 粘土鉱物 / 水酸化鉄 / シュウ酸 / 地球冷却効果 / カルシウム / 鉄 / 中和 / 溶解性 / プランクトン |
研究概要 |
本研究では、X線吸収微細構造法を駆使して、エアロゾル中の様々な元素の化学種を調べ、大気中でその元素が受ける化学的プロセスを理解することを目的として、以下の2つの研究を行った。 1.大気経由の鉄の海洋への供給は、海洋での生物生産を支配する因子として注目されている。大気経由の鉄供給とは、主にエアロゾルとして鉄が供給されることを示している。その際に重要な点は、供給されたエアロゾル中で鉄が溶解しやすい化学種として存在しているかどうかであるが、これまで鉄の化学種を直接決定した例が少なく、その溶解過程には不明な点が多かった。本研究では、放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS法)を適用することで、黄砂粒子が長距離輸送される途上で黄砂中の鉄化学種がイライトやクロライトなどの粘土鉱物から大気中で酸化を受けフェリハイドライトに変化することを明らかにした。またその場合、溶解実験から鉄の溶解度が増加することが分かった。このことは、人為的な影響により黄砂からの鉄の溶解性が増加することを示唆している。 2.シュウ酸などのジカルボン酸は、大気中の水分を吸収し雲の核となって太陽光を反射するため、地球冷却効果を持つことが指摘されている。我々はカルシウムや亜鉛のXAFSスペクトルを詳細に解析することにより、エアロゾル中のこれらの金属イオンの化学種としてシュウ酸錯体が存在することを示した。また全シュウ酸化学種に占めるこのシュウ酸錯体の割合は、少なくとも50%以上を越えていることが分かった。シュウ酸が金属錯体となった場合、吸湿性が著しく低下することが予想されるため、シュウ酸はこれまでほど雲核の形成やそれに伴う地球寒冷化には寄与しないことが予想される。
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