研究領域 | スピン流の創出と制御 |
研究課題/領域番号 |
21019002
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
角田 匡清 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80250702)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2010年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2009年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | スピンエレクトロニクス / スピン偏極 / 窒化鉄 / トンネル磁気抵抗効果 / 巨大磁気抵抗効果 |
研究概要 |
理論研究によれば、Fe_4Nはいわゆるハーフメタルではないが、その電気伝導度のスピン偏極率は-1であり、小数スピンの電子が伝導を担っている。また、Fe_4N/MgO/CoFeBの構造を有する強磁性トンネル接合(MTJ)では、室温で最大-75%のインバースTMR効果が観測されており、Fe_4N中での少数スピン伝導がその起源と考えられている。また、平成21年度までの研究により、Fe_4N薄膜で観測される負のAMR効果は、伝導電子の負のスピン分極を反映したものであることが明らかとなっている。そこで、本年度は、引き続きFe_4N単結晶薄膜のAMR効果ならびにFe_4N/MgO/CoFeB-MTJの電流誘起磁化反転(CIMS)について検討を行った。 スパッタ法により、MgO単結晶基板上に100nm厚のFe_4N単結晶膜を作製しAMR効果の結晶方位依存性を調べた。その結果、AMR比は電流を[100]方向に流した場合に低温で負に大きく増大するのに対して、[110]方向に流した場合には増大は見られないことが判った。これは、Fe_4Nの軌道磁気モーメントが磁化結晶方位依存性をもつとする理論計算の結果を勘案し、スピンー軌道相互作用を介して軌道磁気モーメントがAMR効果に影響を及ぼした結果であることが示唆された。Fe_4N/MgO/CoFeB-MTJのCIMSは、正のスピン分極を有する強磁性層を両電極とした通常のCoFeB/MgO/CoFeB-MTJのそれとは異なり、亀流方向と磁化反転の方向が逆転するインバースCIMS効果を示すことが判った。また、本インバースCIMS効果はFe_4Nをフリー層とした場合に観測されており、従来の理論では説明できない現象であることも併せて明ちかとなった。
|