研究領域 | 光―分子強結合反応場の創成 |
研究課題/領域番号 |
21020006
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久保 敦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (10500283)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2010年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2009年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 表面プラズモン / フェムト秒 / 顕微鏡 / 時間分解 / 光物性 / 微小光学 / 表面・界面物性 / 超高速ダイナミクス |
研究概要 |
光エネルギーを微小領域に閉じ込め、エネルギー密度を高める効果のある表面プラズモン(SP)は、高効率・高強度な分子励起や太陽光エネルギー利用を実現する上で重要である。表面プラズモンの位相緩和時間は数フェムト~100フェムト秒程度と極めて短いが、位相緩和時間内におけるSPの干渉効果が電場増強のメカニズムに本質的な役割を果たしている。そのため、フェムト秒時間領域でのSPのダイナミクスを解明する事が重要な課題である。 本研究では、金属-誘電体界面を伝搬するプラズモンモードである「表面プラズモンポラリトン(SPP)」の超短パルス波束を金属表面に励起し、SPP伝搬のダイナミクスをフェムト秒時間分解顕微法により動画像化する事を目標に置いた。今年度は、前年度に開発した10フェムト秒レーザー、アト秒精度ポンプ-プローブ光学遅延、および蛍光顕微鏡を統合し、「フェムト秒時間分解蛍光顕微鏡」を構築した。当顕微鏡では、金属表面に励起されたSPP波束の可視化のため、金属膜試料表面に極薄の蛍光膜を積層する。SPPの電場により蛍光分子が励起されて発する蛍光強度の空間パターンを観察し、SPPを画像化する。蛍光膜や光学フィルター等の最適化を行い、CCDカメラによりSPP像を得ることに成功した。さらに、ポンプ-プローブ遅延時間を増大させつつ連続的にSPP像を取得していく事により、SPP波束の伝搬を映像化することに成功した。フェムト秒レーザーの波長は、比較的長いSPP寿命が得られる近赤外領域にあり、60μm以上の距離に渡るSPP波束の伝搬の映像を解析した結果から、波束の群速度を0.91c(c:光速)と実験的に決定する事ができた。当研究成果は近赤外域のSPP波束の映像化に世界で初めて成功したものであり、将来デバイスとして期待されるプラズモニック素子の開発・検査等への適用も期待される。
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