公募研究
特定領域研究
本年、我々はヒトに感染性を示すアメーバ3種Entamceba histolytica, E.moshkovskii, E.disparの病原性に関する比較研究を進めた。まず各アメーバのマウス腸管内定着能を調べた。病原性が未確定のE.moshkovskiiは病原性E.histolytica同様CBA/Jマウスの腸管に一定期間定着したものの、非病原性アメーバE.disparはCBA/Jマウス腸管内に定着できなかった。C57BL/6やBALB/cマウスの腸管には、E.histolytica同様、いずれのアメーバも定着できなかった。CBA/Jマウスに感染したE.moshkovskiiは下痢や赤痢アメーバに特徴的なイチゴゼリー状の粘血便などの激しい消化管症状と共に、顕著な体重減少を引き起こした。この研究によってE.moshkovskiiは潜在的に病原性を有しており、少なくともマウスにおいては下痢などの消化管症状を引き起こすことが判明した。また、E.histolyticaは持続感染に移行するものの、E.moshkovskiiは感染14日目までに排除されることも判明した。この知見は両病原体の違いを解明するために有用であり、同時にアメーバに対する感染防御機構の解明にも重要なモデル系を提供するものである。我々は昨年度までに病原性E.histolyticaに加えてE.moshkovskiiにもPAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns)が存在し、一方、非病原性E.disparの細胞表面にはPAMPsが存在しないことを明らかにしており、今後はPAMPsと病原性の関連性に関して研究を深めていきたい。
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