公募研究
特定領域研究
肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)は、細菌性肺炎および敗血症発症の最大の起炎菌である。また、インフルエンザ発症に伴う細菌性肺炎の発症に大きく関わっており、インフルエンザの主な死因にもなっている。しかし混合感染による感染症憎悪に関与する分子生物学的メカニズムはよくわかっていない。我々は昨年度の研究においてこれまでマウスに非致死量のインフルエンザウイルスと肺炎レンサ球菌との混合感染による致死的感染症を発症することを明らかにしたことから、本年度はその発症の原因について、インフルエンザ感染上皮細胞への細菌の付着・侵入の変化の有無に焦点を当てて解析を行った。まずマウスの混合感染による肺での微生物数の変化について検討したところ、混合感染により、肺でのウイルス数はウイルス単独感染と比べ数倍程度増加した他、細菌の単独感染では検出できなかった細菌数も混合感染によって10^5CFU以上と高い検出値を示した。一方、in vitroにおける上皮細胞のウイルス感染による細菌の付着・侵入能の変化について検討したが、ウイルス感染による有意な変化を見出すことができなかった。インフルエンザウイルスとA群レンサ球菌との混合感染では上皮細胞のウイルス感染による細菌の付着・侵入能の増強が肺での細菌数の増加に寄与していることを明らかにしていることから、インフルエンザ-細菌混合感染による致死的感染症発症のメカニズムはその細菌の種類によって異なることが示唆された。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
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