研究領域 | 膜超分子モーターの革新的ナノサイエンス |
研究課題/領域番号 |
21023003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 裕一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50323499)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2010年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 生物物理 / 分子モーター / ナノバイオ |
研究概要 |
レーザー光による光刺激を用いてべん毛モーターの回転速度を可逆的にかつ局所的に操作することで、生体内分子機能をリアルタイムで制御する新しいツールを開発することを目指し、平成22年度は以下を行った。 1)光刺激用レーザーを導入した計測系の評価:昨年構築した光刺激用レーザーを組み入れた計測系について、温度変化と細胞へのダメージを検討した。まず、プローブを用いないで細胞そのものへYAGレーザーを集光して回転運動を観察すると、YAGレーザーの最大強度2Wでも顕著な変化が見られなかったのに対して、ポリスチレンビーズ(直径1um)をべん毛に結合させて、YAGレーザーを与えると、照射時に回転速度の変化や回転の停止が観察された。このようなレーザー照射の影響は、可逆的に引き起こされ、ビーズの直径を半減させるとほとんど見られなくなり、プローブの大きさや熱的特性に依存することが示唆された。 2)局所熱刺激によるべん毛モーターの運動応答の計測:構築した計測系を用いて、レーザーによる局所的光刺激下でのべん毛モーターの運動性を計測した。ポリスチレンビーズより、光-熱変換効率の高いプローブとして、金コロイド粒子(直径250nm)での計測を行った。ポリスチレンビーズでの速度変化4%に対して、金コロイド粒子を用いた場合、速度は可逆的に50%以上高速化することに成功した。この時の温度変化は、金粒コロイド粒子表面で200℃程度に対して、モーター自身の温度上昇は2℃程度と考えられる。本研究の結果は、生体分子の温度を、プローブの直接的結合によって100℃以上の広温度域で制御できる可能性と、プローブの間接的導入によって、温度変化をごく局所領域にのみ制御できる可能性を示した。
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