研究概要 |
26Sプロテアソームは分子量2.5MDaの巨大な蛋白質分解酵素で触媒サブユニットを含む20Sプロテアソームとユビキチン化蛋白質の認識や脱ユビキチン酵素を含む19S複合体により構成されている。26Sプロテアソームを構成する構成因子はほぼ確定したと考えられるが、26Sプロテアソームに一時的に結合する蛋白質や、特殊な状況でのみ相互作用すると思われる蛋白質は未だ数多く未解析のまま残されている。 出芽酵母の前年度までに同定した機能未知プロテアソーム結合蛋白質Ypi31(Piclを改名)の解析を引き続き行った。Ypi31はヒトでやはりプロテアソーム結合蛋白質として同定されていたPI31と相同性を持つ。PI31はもともとプロテアソームの活性を阻害する蛋白質として同定されたが阻害活性はin vitroの実験系でのことであり生体内での本来の機能は明らかになっていない。出芽酵母Ypi31を細胞内で過剰発現させてもプロテアソームの機能を阻害しているような効果は見られなかった。一方、Ypi31の欠損はプロテアソーム形成シャペロンの1つとの欠損とで合成致死となることがわかった。このことはYpi31がプロテアソームの機能に対して阻害的ではなく正の方向に機能している事を示唆する。また,Ypi31は20Sプロテアソームに結合していることから19S制御因子とは異なる形で20Sの機能制御,もしくは機能変換を行っている可能性があるという知見も得られた。全体としては研究は順調に進んだ。
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