研究領域 | セルセンサーの分子連関とモーダルシフト |
研究課題/領域番号 |
21026001
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20243040)
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研究分担者 |
片山 貴博 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90399957)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2010年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2009年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 神経細胞傷害 / アストロサイト / MCP-1 / Toll-like受容体 / RNA / TLR3 / 脳スライス培養系 / セルセンサー / HMGB1 / グリチルリチン |
研究概要 |
通常は細胞内に存在する核タンパク質HMGB1や核酸RNAが、細胞傷害時に細胞外に遊離・漏出して細胞間情報伝達分子として働き、一方で、本来は細菌等由来の外来性分子に対するセルセンサーであるToll-like receptor (TLR)がHMGB1やRNAなどの内在性分子に対するセルセンサーとして機能するという「セルセンサーとその適刺激(リガンド)のデュアルモーダルシフト」が、脳細胞傷害によるグリア細胞活性化に関与する可能性について検討した。ラット大脳皮質線条体領域から作製したスライス培養系を用い、アストロサイトの活性化をケモカインMCP-1の産生を指標として評価した検討から、傷害を受けた神経細胞に由来するHMGB1がアストロサイトでのMCP-1産生亢進を引き起こす細胞間情報伝達分子の1つとして機能している可能性を示唆するデータを昨年度の研究で得ている。今年度は、細胞外に漏出するRNAに着目して検討を行った。脳スライス培養系において、NMDAによる神経細胞傷害により、細胞外RNA濃度は著しく上昇した。NMDA誘発神経細胞傷害によって誘導されるアストロサイトでのMCP-1産生は、RNaseAを培地中に加えることによって部分的ながら有意に抑制された。また、細胞外RNAの受容体として機能すると考えられているTLR3のアゴニストpoly I:CによってもアストロサイトでのMCP-1の発現亢進が認められた。TLR3は通常エンドソームに発現していることから、エンドソーム酸性化阻害薬クロロキンの効果を検討したが、クロロキンはNMDAによるMCP-1産生を抑制しなかった。アストロサイトにおいては、TLR3はエンドソームに加えて細胞膜表面にも局在すると報告されていることから、細胞外に漏出したRNAは、細胞膜表面のTLR3を介してMCP-1産生を誘導している可能性が考えられた。
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