公募研究
特定領域研究
オーキシン(IAA)は植物の全生活環を通して極めて重要な植物ホルモンであり、植物におけるメリステムの形成・構築機構においても位置情報因子として働いている。申請者等はこれまでに、IAAはトウモロコシ幼葉鞘先端部でTrpから合成され、合成されたIAAは速やかにZmPINを介して下方に輸送されることを明らかにしてきた。これまでにAtPIN1抗体を用いてZmPIN1(s)の幼葉鞘における分布の詳細を明らかにするとともに、NPAによる輸送阻害、あるいは重力刺激後の先端から下方へのIAAの流れを詳細に観察した。さらに、幼葉鞘の伸長部で発現するIAA誘導性遺伝子ZmSAUR2は、内生IAAの動的な分布変化にほぼ対応した発現、すなわち重力刺激後およそ30分で上側での発現は大きく減少し下側では増加した。また、オーキシン受容体TIR1の特異的阻害剤(PEO-IAA)を処理すると、ZmSAUR2発現が抑えられ、同時に屈曲も停止した。引き続き、抗IAA抗体によるIAA分子の組織内分布の可視化に継続的に取り組み、本年度は特に細胞内レベルでのIAA分布の可視化に集中した。その結果、ミトコンドリア、色素体などの細胞内小器官にシグナルの分布が観察された。また、2年間進めてきたケミカルスクリーニングによりIAAの合成を強く阻害する薬剤の候補を7種絞り込むことに成功した。それらの構造相関から、現在2つの異なる反応段階に作用すると思われるグループに分類できる。この薬剤に関しては、さらにその構造の特異的反応部位に検討を加えるとともに、標的タンパク質を特定するための準備を進めている。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
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