研究領域 | 半導体における動的相関電子系の光科学 |
研究課題/領域番号 |
21104514
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菅 誠一郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (40206389)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2009年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 冷却フェルミ原子 / 光格子 / 3成分内部自由度 / 斥力誘起s波超流動 / ペアモット絶縁体 / カラー原子密度波 / カラー選択型モット転移状態 / 有限温度相図 / カラー超流動 / トリオン / 有限温度 / 相図 / 自己エネルギー汎関数法 |
研究概要 |
今年度は、光格子中において3成分内部自由度を持ち、斥力相互作用をする冷却フェルミ原子の、絶対零度から有限温度に亘る状態を系統的に調べた。内部自由度が異なる3種類の原子間斥力に異方性がある場合、ハーフフィリングの基底状態は、最も弱い斥力を持つ2種類の原子がペアを作り、残りの種類の原子と交互に光格子に局在した「カラー原子密度波」であることを明らかにした。温度が増加すると、弱相関領域においてフェルミ流体、強相関領域では最も弱い斥力を持つペア原子と残りの種類の原子がランダムに配置した「ペアモット絶縁体」に相転移する。中間の相関領域では、最も強い斥力を持つ2種類の原子がモット転移をし、残りの種類の原子が系を遍歴する「カラー選択型モット転移状態」に相転移することを明らかにした。ハーフフィリングからフィリングをシフトするとカラー原子密度波は消え、弱相関領域の基底状態はフェルミ流体、強相関領域ではペアモット絶縁体が基底状態になる。さらに、その転移点近傍には超流動状態が現われることを明らかにした。この超流動では最も弱い斥力を持つ2種類の原子がクーパーペアを作り、残りの種類の原子はフェルミ流体になっている。すなわち、引力系でのカラー超流動に類似の性質を持つ。そして、この超流動はクーパーペアのクーパーペアに係わらない原子の密度揺らぎにより誘起される事を示した。この斥力に起因した特徴的超流動状態は、温度-相互作用、および温度-フィリングに関する相図においてペアモット絶縁体に隣接しているにもかかわらず、クーパーペアの対称性はs波という著しい特徴を持つ。系のフィリング、斥力の異方性、相互作用の強さを変えて、有限温度での相図を求めた。得られた有限温度での相図に基づき、^6Li3成分フェルミ原子系での観測可能性を議論した。
|