研究領域 | ソフトインターフェースの分子科学 |
研究課題/領域番号 |
21106524
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
横山 昌幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20220577)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2010年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2009年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 免疫原性 / 高分子ミセル / リポソーム / 体内動態 / DDS / ABC現象 / ターゲティング / 固形がん |
研究概要 |
本研究は、高分子ミセルのABC現象(Accelerated Blood Clearance)解析を通して、ソフト界面での免疫認識機構を検証し、がん診断・治療に有効なキャリヤーシステムを確立することを目的とする。ABC現象は、PEG修飾リポソームの2回目投与でクリアランスが顕著に増大する現象で、PEG鎖を有するキャリヤーを用いた診断と治療には重要な現象である。本研究の推進により、ソフト界面の生物的な機能の新たな解明に結びつくと共に、固形がんなどの診断・治療の応用に大きな貢献をする。 前年度までのPEG-修飾リポソームによってABC現象を検出する実験から今年度は条件を拡張して検討した。MRI造影剤キャリヤーシステムでは、1回目のどの投与量においても、2回目に投与した造影剤ミセルのマウスでの血中濃度に変化は観察されなかった。つまり、造影剤ミセルではABC現象を起こさない。一方、薬物キャリアーの高分子ミセルでは、PEG-修飾リポソームの2回目の投与で検出すると、PEG-PBLAミセルはABC現象を引き起こすが、2回目の投与を蛍光のFITCラベルした高分子ミセルで測定するとABC現象は検出されない。まとめると、内核が親水性の高分子ミセルMRI造影剤はABC現象引き起こさず、内核が疎水性のPEG-PBLAミセルではABC現象を引き起こすが、ABC現象では認識されないという、大変興味深い結果を得た。 以上の結果は、基礎的にはPEG外殻と内核のソフト界面が,ABC現象の誘導と認識に重要な役割を果たしていることを明らかにしたとともに、医療応用の側面では、高分子ミセルキャリヤーは造影剤としても薬物治療剤としてもABC現象に関わる問題をなにも起こさない重要な事実が判明した。
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