研究領域 | 揺らぎが機能を決める生命分子の科学 |
研究課題/領域番号 |
21107511
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓文 京都大学, 工学研究科, 教授 (70290905)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2010年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2009年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 積分方程式理論 / 構造揺らぎ / 分子性統計力学 / RISM / 構造ゆらぎ |
研究概要 |
生体分子系の理解においては二つの側面が重要である。一つは構造の柔軟性であり、今ひとつは水和である。本研究課題においては、各々に対して「構造揺らぎ」と「水和」を記述できる新しい統計力学理論を開発し、これらを用いて実際の蛋白質の持つ物理化学的な性質を明らかにすることを目的として研究を進めて来た。今年度までに、以前我々が開発した高効率並列化計算が可能なMC-MOZ法を用いて、バクテリオロドプシンの内部水やCoil-Serの表面の水和構造について計算し、これを解析する新しい方法を開発した。この成果はアメリカ化学会J.Phys.Chem.B誌に掲載されるとともに、表紙にも採用されるなど大きな注目を集めた。更にMC-MOZ理論を用いて得られる溶媒和自由エネルギーに関して、RBC(repulsive bridge correction)を加えると水溶媒中では高精度でエネルギーが得られることが分かった。一方で、四塩化炭素など分子サイズが比較的大きい溶媒の場合はこの限りでなく、更なる補正によって適切な値が得られることを明らかにしている。MC-MOZ理論は現在の計算機環境によく適合することから今後の更なる発展が期待されている。以上のように水和理論について当初の計画を十分に達成できたものと考えている。一方、構造揺らぎに関しては昨年度までに基盤となる理論を完成し、ペンタンやイオン液体などの計算に成功している。今後も水和理論との結合を目指して引き続きその拡張について検討を行う予定である。また、蛋白質の機能や溶液中分子の重要な性質に関わる分子の会合、認識に関して、最も簡単なモデルと考えられるホスト-ゲスト系を取り上げて、MC-MOZ法などを用いながらその会合機構についても明らかにした。
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