配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2010年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2009年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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研究概要 |
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の野生体・G67V変異体の2種類に絞り,緩和分散測定を3点の温度で実施することで,ループ変異により誘導される「揺らぎの変化」の熱力学量を明らかにすることができた.また,stopped-flowを用いてhydride transfer過程における速度変化・熱力学量変化を計算し,遠隔位のループに対する変異が反応のtransition stateに対して大きな変化を与えることを明らかにした. 1.G67V変異による構造揺らぎの変化:緩和分散解析の結果から,G67V変化により揺らぎの結果生じる低存在率構造の安定性が0.1kcal/molとわずかに低下することが分かった.揺らぎにより誘導される構造の変化は大きくはないが,構造揺らぎの速度は変異導入により約3倍速くなり,構造揺らぎの過程で生じる過渡的構造に大きな変化が生じることが明らかになった.構造変化の過程で生じる過渡構造のエンタルピーはG67Vは野生型の2倍近い大きさとなり,さらにエントロピー項の寄与は7倍にまで増大する.この結果,構造変化の活性化自由エネルギーは,変異体は野生型よりも1 kcal/molだけ低下することがわかった. 2.Hydride transfer過程における影響:stopped flowを用いてhydride transfer速度を複数温度点で測定しEyring plotを用いてこの過程に伴う熱力学量を算出した.その結果,変異導入により活性化自由エネルギーは0.2kcal/molだけ低下することが分かった.変異導入により反応過程におけるエンタルピーの寄与は野生体に対して不利になる一方で,エントロピー的には有利な過程になるという反応過程変調の特徴を明らかにした.
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