研究領域 | 揺らぎが機能を決める生命分子の科学 |
研究課題/領域番号 |
21107527
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
岡村 恵美子 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (00160705)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2010年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2009年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 熱揺らぎ / ドラッグデリバリー / 脂質二分子膜 / パルス磁場勾配NMR / 拡散 / 生物物理 / 超精密計測 / 動態 |
研究概要 |
まず、「生体膜の熱揺らぎによる薬物輸送」に関して、前年度に得られたヒトHL60細胞に対する抗がん剤・5-フルオロウラシル(5FU)の取り込みに関する速度論的モデルを検証するために、フッ素原子を含む膜透過性の蛍光色素pentafluorobenzenesulfonyl-difluorofluorescein(BES-H_2O_2-Ac)のHL60細胞への取り込みを、^<19>F NMR時間分解計測と蛍光で同時にモニターした。5FUと同様、BES-H_2O_2-Acの^<19>F NMRシグナルの変化を分単位の時間分解能で計測することができた。今後、NMRと蛍光の両面から、膜透過の速度論的モデルの詳細を確認する予定である。 また、「モデル膜への薬物輸送の動的多核NMR解析」では、高分解能溶液NMRとパルス磁場勾配(PFG)法を組み合わせて、揺らぎにともなう膜中の薬物や脂質分子の運動をin situで観測し定量化する方法を独自に開発した。生体膜モデルとして卵黄レシチンの一枚膜ベシクル(直径100nm)を用いて、前年度に行った比較的親水性の強い5FUに引き続き、本年度は新たに、水への溶解性が低い内分泌撹乱物質ビスフェノールAのフッ素化物(CF_3)_2C(C_6H_4OH)_2について^<19>F NMRによる解析を、神経ペプチド・エンケファリンについて^1H NMRによる解析を行い、揺らぎによる「薬物の膜への結合量」、膜内の拡散運動」、「膜への結合と解離のキネティクス」を明らかにした。多核NMRを用いて、通常の一次元測定とPFG NMR測定を使い分けることにより、さまざまな速さで膜に結合・解離する薬物の運動をin situで定量化することが可能となった。今後、種々の生理活性ペプチドの膜へのデリバリーや膜タンパク質の動態のin situ解析など、興味深い系への適用が期待される。
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