研究領域 | 高次π空間の創発と機能開発 |
研究課題/領域番号 |
21108506
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 (2010) 筑波大学 (2009) |
研究代表者 |
野口 巧 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (60241246)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2010年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2009年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 光合成 / 光化学系II / 赤外分光 / π系共役色素 / 電子移動 |
研究概要 |
光合成系II蛋白質複合体に働く除草剤は、第二キノン電子受容体Q_B部位に結合し、第一キノン電子受容体Q_Aから先の電子移動反応を阻害する。ブロモキシニルなどのπ電子系を持つフェノール系除草剤は、Q_B部位への結合によってQ_Aの酸化還元電位を低下させることが知られているが、その酸化還元電位コントロールの分子メカニズムは不明であった。そこで本研究では、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)とドッキング計算を用いてフェノール系除草剤とQ_Aとの相互作用および酸化還元電位への影響を調べた。 ブロモキシニルを作用させた光化学系IIについて、Q_AとQ_Bの中間に存在する非ヘム鉄の光誘起還元反応の際のFTIRスペクトルを測定した。そのスペクトルにおいて、ブロモキシニルのCN及びCO伸縮振動が、それぞれ2209及び1516cm^<-1>に観測された。エタノール中のブロモキシニルのスペクトルや密度汎関数法(DFT)解析から、フェノール系除草剤は脱プロトン化したフェノレートアニオンの状態でQ_B部位に結合していることが示された。また、ヒスチジン由来のバンドの顕著な変化から、このフェノーレートアニオンの酸素原子が非ヘム鉄に配位するD1-His215に水素結合していることが示唆された。ドッキング計算によってもこの結果が支持された。これらの結果から、フェノール系除草剤は、フェノレートCOのHis側鎖への強い水素結合により、その相互作用シグナルがπ共役と水素結合よりなるQ_A-His-Fe-His-phenolate架橋構造を介してQ_Aに伝わり、Q_Aの酸化還元電位を低下させることが示された。
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